司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。元会社員。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

十一月の勝者

サイトマップ(2023年11月現在)


※以下、雑記です。

 今月、司法試験の合格発表がありました。もしこの文章を読んでいる方のなかで合格された方がいたら、本当におめでとうございます。苦しい受験生活、本当にお疲れ様でした。

なぜって、苦しみこそが人生だからですよ。苦しみのない人生に、どんな満足があるっていうんです。何もかもが、果てしないひとつの祈りと化してしまいますよ。そりゃあ神聖だろうけれど、ちょっと退屈でしょうね。

 司法試験の合格発表の時期が2か月ズレた結果、その直後に、前年度合格者の二回試験が訪れることになったようです。Twitter上で76期の先輩方が阿鼻叫喚のツイートしているのをみて、77期の合格者はテンションが下がったかもしれません。
 でも安心してください。75期の私に言わせれば、二回試験なんてただの試験です。実戦に出てからが本物の地獄の始まりですからね!


 …冗談は縦置き。
 例年、司法試験の合格発表があった月に、当ブログのサイトマップ(上記リストのことです)を更新していました。2か月ズレましたが、今年も更新しておきました。
 数えてみると、この1年間で7つの記事しか更新できていなかったようです。真の地獄を味わっている同期の話を聞いていると、私はブログを更新したりTwitterを更新したりできているだけ、恵まれた労働環境なのかもしれません。
 昨年、サイトマップを更新した際に「司法修習に関する記事を書きたい」と宣言して、一応、宣言どおりに司法修習に関する記事を書けました。

 さて、これからどうしようか。
 当ブログは「読書ブログ」のつもりで始めたので、面白かった本があれば紹介したいなとは思っています。ただ、それが難しいんですよね。
 弁護士になると、自由度が飛躍的に上がって、みんなのやることがバラバラになります。ゼルダの伝説シリーズでいうと、チュートリアル的なダンジョンが終わって、オープンワールドハイラル平原に放り出されるようなものです。
 司法試験も司法修習もみんな平等に同じ道を歩かなきゃいけなかったので、私も本を紹介しやすかったです。私が有益だと思った本はみんなも有益だと思うだろう、という推定が容易に働きました。
 しかし、弁護士になった途端、やることが10人いたら10通りある状態になるので、私の興味があるテーマで本を紹介しても、あんまり面白くないんじゃないかと思ってしまうのです(誰か『限定承認後の財産管理人による破産申立て』とか『獣医療広告ガイドラインにおける広告該当性判断』とか興味がありますか?)。

 というわけで、今までみたいな「みんなに役立つ本をご紹介!」という記事は少なくなるかもしれません。この記事みたいに、ダラダラと書き連ねる雑記が多くなるかもしれません。
(ちなみに、直近で書きたいなと思っているのは、「弁護士1年目を終えて思う、弁護士1年目を精神的に健康に過ごすためのコツ」みたいな記事です。)


(Pixabayからのイメージ画像)

 これも毎年恒例なのでやっておきます。訪問者とページ閲覧の集計。
 2年前にサイトマップを作った時点では、約1,100名の訪問者、約6,300のページ閲覧だったようです。1年前にサイトマップを作った時点では、約10,200名の訪問者、約42,900のページ閲覧。
 そして今回集計したら、約25,000名の訪問者、約85,800のページ閲覧でした。集計期間が2か月長いので単純比較できませんが、7記事しか更新していないわりには急激に増えたように感じます。
 ちなみに訪問者の約42%が検索流入、約32%がソーシャル(おそらく全部Twitter)、約21%が直アクセスでした。

 できるだけTwitter上ではTwitterの話をしないようにしているんですが、いつもTwitterでいいねしてくださったり、リツイートしてくださってありがとうございます。
 そしてあまりTwitterにはログインしていないんですが、時間があるとき、リツイートしてくれた方のツイートを眺めたりして、感謝のテレパシーを送っています。
 そうは言ってもアイデンティティは「ツイッタラー」ではなく「ブロガー」なので、ブログの記事を読んでもらっていることが一番うれしいです。こんなダラダラ書いた雑記を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


被疑者国選弁護人の備忘録

【読むとよいタイミング】司法修習〜弁護士1年目

 

 当ブログはタイトルに「備忘録」と入れておきながら、あんまり本当に備忘録っぽい記事を書いてきませんでした。

 どんな仕事でも同じかもしれませんが、「1回経験すればわかるし、2回目以降は全然困らないけど、調べても全然(あるいは絶対に)わからない知識」ってありますよね。私はいちいちそういう心配事で眠れなくなります。

 刑事弁護は、民事弁護に比べると、やるべきことが定型化しています。その分、やるべきことをやらないとマズいことになります。というわけで、国選弁護に関する備忘録を残そうと思いました。

 弁護士会の研修を悪く言うわけじゃないですが(と言いながら悪く言いますが)、新人向けの研修って、なぜかスピリット系の話や苦労話や武勇伝ばっかりで、新人が不安に思っている実務的な知識を全然教えてくれないですよね。

 東京だとあんまり国選の待機日が回ってこないので、本当に自分のための備忘録として書いてあります。

 なぜこんなに「備忘録」という点を強調しているかというと、「あくまで備忘録として書いてあるものだから、内容が少し間違っててもあんまり責めないでね?」という予防線です。Twitterをみてると、刑弁界隈の方々はめんd…熱心なイメージがあるんですよね。あんまり責めないでください…

 ただ、間違いを指摘して頂いたり、新たな知見を得たりした場合には、記事の内容を随時修正しようと思っています。

 ちなみに、弁護活動の中身については何も書いていません。必要なことはすべて『刑事弁護ビギナーズ』に書いてありますので…

 

目次

国選の打診

 何はともあれ、物語は法テラスからの電話で始まります。15時以降は電話に出られないとパスされるらしいですが、15時前までは自分が不在でも事務所の誰かが出てくれれば折り返しの電話でOKです。

 あとで詳しく書きますが、警察署に接見に行くには夜まで待たないといけませんから、日中は普通に業務の予定を入れても問題ありません。15時以降でも、電話に出られる状態であれば打合せなどを入れて問題ありません。(私は最初、何も知らずに一日中予定を空けていました。)

 法テラスからの電話を受けると、被疑者の名前と被疑事実の概要を告げられ、「大丈夫ですか?」と訊かれます。「大丈夫も何も、断れないんでしょ?」とキレてはいけません。その場で、事務所のシステム等を利用して、利益相反があるかないかを確認して返答しましょう。

選任書の受領

 国選弁護人は裁判所から選任されるものなので、裁判所から「選任書」を受領しなければいけません。東京の場合、東京地裁刑事14部です。

 ただ、これは裁判所から電話がかかってきて、「取りに来てね。職印を忘れずに持ってきてね」と言われるので、忘れることはないと思います。

 刑事14部の場所は東京地裁の1階、司法協会や弁護士控室がある辺りです。自分の名前を名乗って、「取りに来ました〜」と言うだけです。郵送してくれ。

 原本を使う機会はありませんが、報告や謄写申請、準抗告の際に写しを使うことになるので、失くす前にさっさとスキャンしておきましょう。

(pixabayからのイメージ画像)

初回接見

 東京では、選任された当日に接見に行かなくてはいけません。実務修習地の某県では、2日後に行っても何のお咎めもありませんでした。地域差があるようです。

 持ち物について不安になるかもしれませんが、国選の場合、最低限、弁護士バッジ(か弁護士身分証)だけ持って行けば大丈夫です。

 私はとりあえず、被疑者に説明するために、刑事手続の流れが書いてある図を印刷して持って行っています。

→ 日本弁護士連合会:刑事手続の流れ

 あと、日数計算が苦手なので、卓上カレンダーを拡大コピーして、あらかじめ勾留満期や勾留延長があった場合の満期などを全て書き入れてから接見に行っています。

 経験豊富な被疑者から「せんせ〜、そんなん全部知ってるよ」と言われたこともありますが、まあ、念のため。

接見の予約

 接見に行く前には、警察署の留置係に電話をかけて、被疑者がいるかどうかを確認します。勾留されている警察署の代表電話に電話して、「弁護士ですけど留置係お願いしゃす」と伝えると回してくれます。

 東京の場合、選任された当日(≒勾留決定の日)、被疑者は午後6時半ごろまでに警察署の留置施設に帰ってきます。

 これは経験豊富な被疑者から教えてもらった話なのですが、朝、警察車両が各地の警察署に寄って被疑者をピックアップして検察庁や裁判所に連れて行って、全員の用事が終わったら、夕方、またみんなで警察車両に乗って各地の警察署に帰されるらしいです。えんそk

 勾留決定の日には裁判所に行っていますが、その後もちょこちょこ検察庁に連れて行かれたりするので、初回接見に限らず、接見に行く前には電話で確認する必要があります。

 私は留置係の警察官に「接見に行っても大丈夫ですか?」と質問していましたが、意地悪な警察官は「大丈夫か訊かれても知りませんよ」などと言ってきます(体験談)。親切な警察官は「今日は取調べがないので大丈夫ですよ、20時半ごろに風呂に入れたいので、それまでに来てもらえるとありがたいですね」などと教えてくれます。

(pixabayからのイメージ画像)

接見資料の受領

 私はこんなことすら知らなかったのですが、被疑者国選の場合、接見の回数(など)に応じて報酬が決まります。そのため、のちのち、接見に行った証拠を法テラスへ提出する必要があります。

 接見室の前で接見の申込用紙を書く際、接見資料という複写式の紙を敷いて必要事項を記入します。申込用紙は警察官に渡して、接見資料は持ち帰ります。

 これをあらかじめセッティングしておいてくれる警察官もいれば、お願いしないと接見資料をくれない警察官もいます。ただ、これは別に警察官の意地悪ではありません。起訴後は接見資料が不要になるので、警察官側もそこまでの事情は知らないんですよね。

担当検事の確認

 勾留決定をした裁判官の名前は勾留状(法テラスからFAXで送られてきます)に書いてありますが、担当検事の名前は資料に書いていないので、自分で調べる必要があります。

 東京地検の代表電話に電話をかけて、「国選で配点された事件の担当検事を知りたいのですが」と告げると、担当の部署に繋いでくれます。被疑者の名前、事件名(●●被疑事件)、留置されている警察署の名前を伝えると、担当検事と担当事務官の名前と内線番号を教えてくれます。

 担当検事にどんなタイミングで連絡して、どんな話をすればいいかは、『刑事弁護ビギナーズ』に書いてあります。

担当警察官の確認

 次に調べる必要がある(必要がない事件もある)のは、捜査を担当している警察官の名前です。

 以前、担当検察官を確認するのと同じノリで警察署に電話で問い合わせたことがあります。しかし「電話口にいるのは先生本人ですか? 本当ですか? それが確認できない以上、教えられません」と言われて断られました。

「いったいどこの変態が国選弁護人のフリして担当警察官の名前を確認するんだYo!」とキレそうになりましたが、まあ、たしかに組織犯罪とかであればあり得ない話でもないか…思ってガマンしました。

 なので、初回接見の際、被疑者に確認するか(「取調べを担当した警察官の名前を覚えてませんか?」)、被疑者が覚えていなければ留置係の警察官に聞いておくようにしています。たぶん担当検察官に訊いても教えてくれるのではないかと思っているのですが、試したことはありません。

準抗告

 被疑者国選の段階で弁護人が最も注力するのは、身体拘束からの解放ではないかと思います。準抗告なのか勾留取消しなのか…みたいな話については『刑事弁護ビギナーズ』に書いてあります。

 勾留決定に対する準抗告をするケースが多いと思うので、その方法について少し書いておきます。東京地裁の場合、1階の刑事14部ではなく、11階の刑事訟廷事務室の事件係に申立書を提出します。

 申立書を持って行くと、選任書を見せてください、と言われ、その場でコピーを取られます。ただ、選任書には事務所の電話番号しか書いていません。決定は夜遅くに出ることも多いので、申立書に携帯電話の番号を書いておくといいのではないかと思います。

起訴後の話

 無事に準抗告が通って釈放されたり、不起訴で終わったりすればいいんですが、起訴されるとまだまだ仕事が続きます。被告人国選です。

 が、記事が長くなってきたので、ここで一旦やめますね。

 法テラスから口酸っぱく言われるので忘れないとは思いますが、不起訴で終わろうが起訴されようが、その時点で一旦、法テラスに報酬請求をする必要があります。必要書類をFAXすると、何日か後に報酬算定表がFAXされてきます。

 起訴後の話で1点だけ、私が最も不安だったことを先取りして書いておきます。

 公判期日について、「国選だから、指定された公判期日が差支えでも行かなきゃ怒られるのかな?」などと勝手に不安になっていました。が、起訴されて1週間くらいすると、書記官から電話がかかってきます。きちんとこちらの予定を確認してから期日指定してくれますので、ご安心ください。

おまけ

 かつて東京弁護士会が『実践刑事弁護』(現代人文社)という本を出版していました。

 この本には、東京拘置所の接見可能な時間帯が載っていたり、謄写にかかる費用が載っていたり、東京地裁の仮監置室の地図が載っていたりして、私が欲していた理想の本に最も近いです。が、残念ながら、被疑者国選ではなく被告人国選のことしか書かれていません。

 それはこの本の初版の発行が2006年だからです。

 そもそも被疑者国選の制度が始まったのが2006年で、2009年から「長期3年を超える懲役や禁錮」の事件まで拡大され、2018年にようやく勾留されたすべての事件に拡大されました。今ではあんまり想像できないですが、最近(?)まで被疑者国選はそんなにメジャーではなかったんですね。

 ちなみにこの本、初めて国選弁護を担当する三平弁護士が悪戦苦闘するようすが描かれていて、読み物としてもなかなかおもしろいです。
 三平くんは、公判で堂々と検察官側の席に座っちゃったり、国選報酬の安さに文句を言ったり、被告人の妻から渡された菓子折りを「国選なので…」と言って断りつつ最終的にちゃっかり受け取ってしまったりするところに好感が持てます。
 ボスは、厳しくも優しく丁寧に指導してくれる、イソ弁の妄想を具現化したような弁護士です。事務員の陽子さんと三平くんのほんのりロマンスを匂わせるやりとりも絶妙に心温まります。
 ただ、三平くん、判決言渡し後に「僕はやっぱり刑事事件が好きだ。」とかセンチメンタルに言ってしまうあたり、親友にはなれないなあ、と残念に思います。いいやつなんだけど。

 

 この本の姉妹本として、ひとみ弁護士の奮闘を描いた「当番弁護士編」もあります。当番弁護士について備忘録を書くことがあったら、また詳しく紹介するかもしれません。

 

 そして今、三平くんやひとみさんについて調べていて初めて知ったのですが、2018年には『新・実践刑事弁護』(現代人文社)が出版されたみたいです。

 どうやら、三平くんとひとみさんがフュージョンして昇平くんになったようです。どんな人格になっているのか気になったので、注文してみました。読んだらまた感想を書くかもしれません。

 

 備忘録だけ書くつもりが、思いのほか、文字数の多い記事になってしまいました。まだまだ文字を読む元気のある方がいたら、修習生の頃に読んだ刑事弁護関連の本をまとめた記事もあるので読んでみてください。

article23.hatenablog.jp

 

余は如何にして予備試験1年合格者となりし乎

【読むとよいタイミング】勉強開始前

 

 当ブログに関しては、Googleさんが、毎月、「あんたのところのサイト、このワードでの検索結果からの流入が多かったよ」とメールで教えてくれます。最近、Googleで「予備試験 1年合格 ブログ」と検索すると、上から2番目に表示されるようになったそうです。

 しかし、当ブログには「予備試験 1年合格 ブログ」に必要なものが決定的に欠けています…それは、体験談です。

 今まで、なんとなく体験談を語るのキモいなあ…と思っていたので、本の紹介をメインにしていました。が、なんとなく気が変わりました。「どうやって1年で受かったの?」とか訊かれても、だんだん思い出せなくなってきたんですよね。というわけで、覚えているうちにあれこれ書いておこうと思うようになりました。

 別にnoteの有料記事を売りつけようとしているわけではないので、刺激的なことや気分が良くなるようなことを言うするつもりはありません。ひょっとしたら、絶望的に退屈な体験談になるかもしれません。まあ、試験勉強なんて絶望的に退屈なものだったりもします。

 ちなみに当ブログはどこまで読んでも無料です。表現行為には自己実現の価値と自己統治の価値がありますからね。読んでもらえることが一番の報酬です。

(pixabayからのイメージ画像)

目次

予備校に申し込む

 私はそもそも法律の条文なんて一度も読んだことありませんでしたが、いろいろあって、司法試験を受けることに決めました。

 とりあえず決めたものの、何から手をつけたらいいのか見当もつかない状態でした。しかし、ふと、大学時代、国家公務員を目指していた友人が「伊藤塾は最高だぜ。講義動画が2倍速で観られるからな」と話していたことを思い出しました。

 それまでの人生で予備校に通ったことがなかった私は「講義動画が2倍速で観られるなんてステキ!」と思い、伊藤塾のガイダンスに行ってみることに決めたのでした。

 今思えばアホみたいな話ですが、案外、アホみたいなきっかけで人生が大きく変わったりするものです。伊藤塾に行っていなかったら、そして伊藤真に出会っていなかったら、私はいまだに司法試験に合格できていなかったと思います。

 

<関連記事>
伊藤塾を選んだ理由

合格体験記を読む

 予備試験は全受験生の97%近くが落ちる試験なので、普通の受験生と同じことをしていると普通に落ちますが、3%近くが受かる試験なので、合格者と同じことを一所懸命していれば受かります。

 また、試験は相対評価ですし、時間も有限なので、とにかく「やらなくていいこと」を見極めるのが重要だと考えました。というか、目的合理性を突き詰めると、「やらなくていいこと」は「やるべきではないこと」です。

 ということで、私はとにかく伊藤塾の合格体験記を読みあさりました。「たくさんの教材に手を広げるな」とか「同じ問題集を何度も繰り返せ」とか「毎日、暗記の時間を設けろ」とか、合格者はだいたい同じような(そして、絶望的に退屈な)ことを書いていることがわかってくると思います。

 

全体のスケジュールを立てる

 以前にも何かの記事で貼りましたが、私は最初に以下のようなスケジュールを立てました。実際にはコロナで延期になったため、3か月ずつ後ろにずれましたが。

 ちょっとこれだけだと意味わからない(流行りの言葉でいう「解像度が低い」)と思うので、少し解像度を高めたうえで、最終的にどんな感じだったのかを図示します。(これを見るとますます「1年合格」が優良誤認表示にように思えてきますが、まあ、今さら誰も怒らないだろう…)

 ちなみにこの図は、後述の「長期計画」を成形したものなので、「基礎」と書いてあるのが伊藤塾の「基礎マスター」、「論文」と書いてあるのは伊藤塾の「論文マスター」のことです。

 どうでしょう、私は見飽きた表なので何も感じないですが、初めて見た方も、あんまり面白みを感じないのではないかと思います。何も突飛なことはしていません。前の半分で予備校の講座を消化し、後ろの半分で答練や過去問対策を行う、ただそれだけです。

 変なところと言えば、民法の改正があって講義動画の配信が遅れていたため、民法の学習開始が遅くなっていることくらいでしょうか。自由に計画を組めるなら、おそらく民法は早めに手をつけたほうがいいと思います。

 あと、今になって思うのは、民事実務基礎科目(要件事実)をもっと早くに学んでおくべきだった、ということです。要件事実がわかると、民法の論文答案をスッキリ読みやすく書けるようになります。そして何より、自分が何のために民法や民訴法を勉強しているか、という目的がハッキリします。

スケジューリング制度を使う

 私は勉強開始当初からずっと、伊藤塾の「スケジューリング制度」を使っていました。毎月、決められた日時(たとえば、毎月第1週の月曜日の午後6時)に伊藤塾のスタッフに電話をかけて、進捗を報告して、学習計画の相談に乗ってもらう制度です。

 担当者もコロコロ変わるので、毎回的確なアドバイスをもらえるとは限りません(失礼)。ですが、電話よりも重要なのは、電話の前に、「中期計画」と呼ばれる1か月ごとのスケジュール表と、「長期計画」と呼ばれる試験までのスケジュール表を提出する行為です。

伊藤塾ホームページからの引用)

 

 私は提出した「中期計画」を印刷して壁に貼って、毎日毎日、進捗を書き込んでいました。様々な理由で、学習は思うように進みません。学習が思うように進まないと、焦ります。

 しかし「遅れ」が具体的な形で表現されていれば、それを取り戻すために必要な時間を具体的に把握することができるようになります。あとは、遅れを取り戻す期限を決めて、そこまでの日数で割り算するだけです。

 

試験を受けると宣言する

 ここで急に時間軸がぶっ飛びますが、私は司法試験の合格発表後、結果報告を漏らさずにしないといけないと思っていたため、電話・メール・LINEで結果報告する相手のリストを合格発表前に作っていました。

 リストを数えてみたら意外と多くて、52人いました(受験生の知り合いが1人もいないことを考えると、意外と多くないですか?)。

 そこから遡って考えると、少なくとも52人に対して、司法試験を受験することを宣言していたことになります。そうなると、なかなか落ちられないですよね。なかなか落ちられない以前に、絶対に途中で挫折できないですよね。

 個人的な見解ですが、私は、自らに強度のプレッシャーをかけ、見栄と意地を燃料に勉強を頑張るべきだと思っています。ただ、これは結果的に運よく短期で合格できたから言える話であって、本当に落ちていたら、どうなっていたか正直わかりません。

 しかしまあ、いろんなひとに宣言しておくと、いざというときに支えてくれたり、合格したときにすごく喜んでくれたりもします。オススメです。

予告

 今回は試験勉強を始める前のことを書きました。こんな感じで、思い出せたことをだらだらと書いていきます。

 次回以降、「短答学習」「論文学習」みたいな感じで区切って書くかもしれませんし、時系列で書くかもしれません。

 突然飽きてやめるかもしれませんし、自分語りが恥ずかしくなって非公開にするかもしれませんし、仕事で病んで失踪するかもしれません。