司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

腑抜けども、最適の勉強法を見せろ

【読むとよいタイミング】勉強開始直後/成績が伸び悩んだら

 

 司法試験の結果発表前、おそらく次回が最後の更新になると思います。次回はサイトマップを作っておこうと考えているため、中身のある記事は今回で最後です。不合格だったらペンギンとしてのペルソナを脱ぎ捨てて受験生に戻りますが、もし無事に合格していたら引き続きペンギンとして更新を続けると思います。

 このブログはもともと、私が司法試験のために読んだ、広い意味での「勉強法」に関する60冊の本についての情報をまとめる目的で始めました。2か月でだいたい20冊くらいは紹介できたと思います。

 うすうす勘づいている方もいらっしゃるかと思いますが、ストレートに「勉強法」について書いてある本をほとんど紹介していません。なんかテーマとして「それを言っちゃあ、おしまいよ」という感じがして、避けてきただけです。すみません。

 しかしこれを避けて更新を止めたら、なんか人間として(ペンギンとして?)大事なものを失う気がするので、重い腰を上げて書いておきます。絞りきれなかったので、比較的多めの本を紹介します。

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(Pixabayからのイメージ画像)

目次

 

「読みやすさ」重視

 現時点で大炎上中の人物の本を最初にあげるのは心苦しいものの、まずはメンタリストDaiGo氏の『超効率勉強法』(学研プラス)を紹介します。私は今般の彼の発言内容に全面的に反対の立場ですが、そうは言いつつ、これほど読みやすく、広く薄く勉強法について書いてある本が他に見つからないです。

 この本では、はじめに「悪い例」として、テキストにラインマーカーを引く勉強法や、テキストを読み返す勉強法、講義内容をすぐに復習する勉強法などをあげています。これらの勉強法については、心当たりのある方も多いのではないでしょうか? なぜこれらの勉強法の効率が悪いのか、という点を導入に、効率的な勉強法について解説しています。

 まあ、しかしながらメンタリストDaiGo氏については、金輪際、彼の著作は購入しないという方もいらっしゃるかと思いますし、今後の対応を見るまで購入は控えたいという方もいらっしゃるかと思います。そういう方のために、もう1冊、読みやすい本を紹介します。

 この『進化する勉強法』(誠文堂新光社)は、日本の心理学者が、広く勉強法についてまとめた本です。メンタリストDaiGo氏の本と同様、イラストが豊富で読みやすく、幅広く勉強法を紹介しています。

 これらは2冊も幅広いトピックを扱っているため、重複する内容もあれば、カバーしている分野が違うトピックもあります。ただ、記憶の定着に必要な「想起」「反復」「分散」の基礎を学ぶ目的であれば、どちらも十分な説明がなされていると思います。

脳科学」重視

 定義があいまいなため、あまり「脳科学」というワードは好ましくないのかもしれませんが、この項目では、「脳研究者」としてテレビや新聞でご活躍の東京大学教授・池谷裕二氏が推薦されている本を紹介します。

 先ほど「読みやすさ」重視で紹介した2冊に比べると、単純にページ数も多く、イラストも少なめです。その分、丁寧に実験内容などが引用されているため、ひとによっては、かえって理解がスムーズに進むかもしれません。

 いくつか読んだなかで、一番役に立ったのは『使える脳の鍛え方』(NTT出版)でした。アメリAmazon「教育・心理学部門」第1位!とのこと。

 私が以前から標語のように「想起」「反復」「分散」と言っているのは、この本の要約とも言えます。また、かつて紹介した『Ultra Learning』で推奨されている「とにかくやってみろ」という教えや、『知ってるつもり 無知の科学』で指摘されている「自らの理解不足に気づく重要性」についても、満遍なく解説されています。

 ちなみに、この本でも「悪い例」として最初に槍玉にあげられているのは、テキストにラインマーカーを引く勉強法でした。(ここまで叩かれると擁護してあげたくなりますよね…テキストをカラフルにするのも塗り絵みたいで楽しいじゃないですか!)

 

 次に、『脳が認める勉強法』(ダイヤモンド社)です。こちらは現時点でAmazonの商品画像の本の帯に池谷氏の推薦文が掲載されていますね。

 しつこいかもしれませんが、この本でも「想起」「反復」「分散」が大事であるということが述べられています。ただ、こちらの本のほうが、脳みその機能に関する説明が厚く、「脳科学っぽさ」が強いです。(原題が“How We Learn”ですから、我々は一体どのように学んでいるのか?という解説に重きが置かれている印象を受けます。)

 脳みその機能に関する説明、という点では、池谷氏が書かれている本も非常に勉強になります。たくさんの本を書かれていますが、ここでは『受験脳の作り方』(新潮社)を紹介します。

 池谷氏は海馬の研究が専門だ…とどこかに書いてあった気がします(違ったらすみません)。この本を読むと、その「海馬」がどんな性格をしていて、どうしたら手懐けることができるのか、という理解が深まります。

 文庫本でページ数も多くないですし、池谷氏の文章はとにかくわかりやすくて読みやすいので、読み物としても楽しめると思います。無限に勉強し続けたくなるような文章を、少しだけ引用しておきます。

 ところで、脳を使いすぎると疲れてしまうのではと心配になる人がいるかもしれませんが、じつは、脳は疲れません。もし勉強していて疲れを感じたとしたら、それは脳ではなく、目や肩など、身体の疲労ではないでしょうか。

 なぜなら、脳は昼の夜も休むことなくずっと活動していてもヘコたれない仕組みになっているからです。それもそのはず、脳が休んでしまったら呼吸さえできなくなってしまいます。脳はタフなヤツなのです。一生働き続けても平気なようにデザインされているのです。ですから、皆さんも遠慮することなく脳をどんどん刺激し続けましょう。

自己啓発感」重視

 最後に紹介したい本は『Learn Better』(英治出版)です。アメリカAmazon2017年ベスト・サイエンス書!とのこと。

 この本は以前、別の記事で「メタ認知」の重要性を伝えるために紹介した本です。成績の良し悪しは、「IQ(地頭の良し悪し)」よりも「メタ認知」に依存する、という研究成果を取り上げました。IQよりも大事なものがあるなんて、すごくないですか?

 これまで取り上げてきた本で紹介されているような勉強法のテクニックもきちんと紹介されている(「悪い例」として、テキストにラインマーカーをする勉強法があげられている…)ことに加えて、この本が他と違うのは、序盤で「目標設定」や「学習環境」といったテーマが厚く論じられている点です。

 少しだけ引用します。

 このプログラムがあれほどの成果を上げた理由の一つは、成功への強い期待を集団単位で生み出したことにある。

 私は自分の研究でこれを見てきた。私は同僚たちと共に、教師の学生に対する態度が成果に大きな違いを生むのに気づいた。例えば、私たちの調査では、教師に大学まで卒業すると見込まれた高校生は大卒の資格を手に入れる確率が三倍も高かった。

 前回『鬼滅の刃』の話だけをしたので今回『ONE PIECE』の話をします。ルフィが「おれは信じられてる!!!」と言って馬鹿力を出すシーンがありますよね。名シーンですし、私ももちろんあのシーンが好きなんですが、ああいうのってマンガだけの話じゃないんだ〜と思うと夢がありませんか? 脳みそお花畑ですか?

 

 以上です。

 こんなクソ長い記事にここまでお付き合い頂いた方にだけ特別に教える…というわけでもないのですが、個人的には『Learn Better』が一番好きです。どれか1つだけオススメしてくれ!と頼まれたらこの本を勧めます。

 それはさておき、こんなクソ長い記事にここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。『最後かもしれないだろ? だから、ぜんぶ話しておきたいんだ…』ってことで、どうかご容赦ください。