【読むとよいタイミング】短答式試験3か月前くらい
本日*1、令和3年度の司法試験の短答式試験の発表がありました。足切り点は99点。私は自己採点が150点台だったので、マークミスしていませんように…と願っていましたが、どうやら予備試験資格の受験生は400/400人が通過しているようです。ひとまず論文は採点してもらえるようで安心しました。
そして本日、予備試験の短答式試験の結果発表もありました。通過点は162点。昨年度、私は180点台で通過したため、偉そうに短答対策を語れるほど高得点は取れませんでした。ただ、論文対策を中心に勉強し、短答対策にかけた期間が1か月ほどしかなかった割には、悪くない点数だったと思っています。
そこで今回は、効率的に短答の勉強をするコツについての備忘録。
目次
1 はじめに
さて、短答式試験で効率的に得点するコツは何なんでしょうか? ひとことで先に結論を書くと、「知識だけ」で問題を解こうとするのではなく、「思考」で問題を解くことだと思います。その具体的な方法を、これから長々と書きます。
まず、実際の試験問題を見たことがない場合、遅くとも短答式試験の3か月前くらいの段階で、時間を測って問題を解いてみましょう。おそらく「問題の難しさ」と「時間の足りなさ」に気づくと思います。以下、この2点についての対応策を検討します。
もし「問題も簡単だし、時間も余裕!」という場合、私からは何もアドバイスできることがありません。(参考までに、私は3か月前の時点で初めて解いた過去問が120点台だったので、本番1か月前まで短答対策を放置し、論文対策を続ける判断をしました。)
2 問題の難しさ
正直、問題は本当に難しいです。「こんなもん誰が解けるんだよ!」と鉛筆をへし折りたくなる設問にしょっちゅう遭遇します。しかし、鉛筆をへし折るのはまだ早い。実際には、ほとんど誰も解けない設問であるケースが多いのです。
受験生の間では、『司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト 科目別』(辰巳法律研究所)が人気だという話を聞きます。しかし、この問題集だと、全体の正答率がわかるだけで、どの選択肢をどのくらいの受験生が選んだのかがわかりません。
そこでオススメしたいのが『短答過去問パーフェクト 単年度版』(辰巳法律研究所)です。平成30年度版までは「詳解」という名前で販売されていました。「単年度版」「詳解」には、以下のようなデータがすべての設問について掲載されています。
この例で自分が「1を選んだ受験生」だった場合、自分は平均的な合格者が選ぶような回答をしていたことがわかります。(これに対して、自分が「5を選んだ受験生」だった場合、自分の知識が不足していますから、謙虚に反省する必要があります。)
これを繰り返すことで、合格者平均に近づくためには、どういう知識が必要なのか、どういう知識が不要なのか、がわかってきます。そして、正解する必要のない問題を嗅ぎ分ける能力が身についてきます。
3 時間の足りなさ
以上のように、単年度版を何年分か解いてみて、正解する必要のない問題を嗅ぎ分けられるようになると、それだけで多少時間が短縮できるようになります。私は単年度版を3年分解いてみることで、なんとなく嗅ぎ分けられるようになりました。
時間を短縮するための次の段階として、「絶対に自信がある」「即答できる」知識を増やしていく必要があります。
「正しいものを1つ選びなさい」という刑事系科目によくある設問で、正しいものを1つ即答できれば時間が短縮できるのは当然です。しかし、「絶対に自信がある」「即答できる」知識が威力を発揮するのは、民事系科目の「組合せ問題」です。
わざわざ図解するような話でもないのですが、言葉で説明するのが案外難しいので、以下の図を見てください。
この例で、「イ」と「ウ」と「オ」の肢を読まない、という勇気ある決断ができるかどうかで、点数に差が出てきます。民法だと肢が3〜4行くらいの分量あることもありますから、それを読んで正誤を判断する時間を省略できるとかなり有利です。
…と、ここまで長々と書いてきたのがすべて宣伝のように思えてしまいますが、私は「絶対に自信がある」「即答できる」知識を増やすためにベストな問題集は『伊藤真の速習短答過去問』(法学書院)だと思っています。これを1か月かけて、7科目分、2回ずつ解きました。
(2022/4/2追記)
先日、書店をぶらぶらしていたら、『伊藤真の速習短答過去問』が『合格セレクション』という名前で生まれ変わっていたことを知りました。すでに7科目とも転生を終えているようですので、ご注意ください。(ブログの情報もどんどん古くなっていくんですね…)
4 おわりに
先ほど冒頭で、「知識だけ」で問題を解こうとするのではなく、「思考」で問題を解きましょう、と書きました。最終的に「知識を増やせ」って書いてあって矛盾するじゃないか!というツッコミが入りそうですが、重要なのは「知識だけ」ではなく「思考」も使うことです。
きちんと正しく知識を詰め込むことで、正解する必要のない問題を嗅ぎ分けて、時間を捻出できるようにする。そして「時間をかければわかりそう」な問題で時間をかけて考えて考えて考えて、正答率を少しでも上げる。これが効率的に短答で得点する方法なのではないか、という結論でした。
まあ、そしてマークシートは最終的に運ですから、あとは日頃の行いを良くするしかないですね。手洗い、うがい、マスク着用。健康に気をつけて勉強頑張りましょう。
*1:投稿日とずれてしまっていますが、これは2021年6月3日に書いた文章です。