司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。元会社員。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

くちびるに論証を(口述試験/当日/民事編)

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【読むとよいタイミング】予備試験の論文式終了後〜口述試験

 

 全国的に新型コロナの感染者数がすごいことになっていますね。(政治的なことは書かないので安心してください。)この調子では、今年の予備試験の口述試験も昨年度と同じような形で行われるのかも知れません。どうかこのブログを読んでくださっている方々が感染せず、健康に試験を受けられることを祈っています。

 さて、今回は予告通り、予備試験の口述試験の当日の様子について、できる限り具体的に書きます。具体的すぎて、ほとんど日記です。気軽に読んでください。

 論文式試験の合格発表後しばらくすると、論文式試験の成績通知書とともに、口述試験の受験票がハガキで送られてきます。昨年度のスケジュールでは、試験1週間前の23日(土)にハガキが届いていました。

 そこで初めて、自分が受験する順番と時間帯がわかります。私は「1日目午前:民事」「2日目午前:刑事」でした。というわけで、今回の記事は民事編です。

 

目次

 

2021年1月30日(土)

午前6:45

 今年度の口述試験の会場は、すでに発表されている通り(リンク)、法務省浦安総合センターです。法務省の研修施設のような建物らしく、宿泊施設や食堂、体育館などの設備があります。昨年度も同じ場所で開催されました。

 私は司法試験の受験を終えるまで、都内に住んでいました。口述試験では新浦安駅のホテルに宿泊する受験生も多いそうですが、私はホテルに泊まるとテンションが上がり過ぎてしまう性質があるので、自宅から向かいました。

午前7:45

 都内から向かう場合、新木場駅京葉線に乗り換えます。京葉線の車内には、舞浜駅という「夢の国」に向かうカップルと、新浦安駅という「地獄の底」に向かう受験生しか乗っていません。前者はお互いの顔を見つめて希望に包まれ、後者は予備試験用六法を見つめて絶望に苛まれています。

午前8:00

 新浦安駅から試験会場までは、のんびり歩いて20分ほどかかります。遠いので気をつけてください。駅前にスーツ姿でキョロキョロしている若者がたくさんいるので、適当に後ろをついて行けば着きます。

 試験会場が近づくにつれて、沿道にビラ配りをしている辰巳法律研究所の方々などが現れます。そして最後、入口の最も近くに伊藤塾の「神」が立っているので、二礼二拍手一礼をして、試験会場に入ります。

午前8:20

 集合時間よりも10分早く到着。入口で検温がありました。時間ギリギリにダッシュで滑り込むと、体温が上がって危ないかも知れないので、時間には余裕を持って行ったほうがいいかも知れません。

 そして受付で運命の「くじ引き」が行われ、ここで初めてその日の試験の順番が決まります。私は某室の「1番」でした。なんとなく前日から「1番」だろうと思っていたので、特に驚きはありませんでした。

 記憶があいまいですが、民事刑事あわせて、全部で「15室」×「15人」だったと思います。(午前午後あわせると「15室」×「15人」×「2」=450人なので、おそらく正しいと思います。)

 受付が終わると、各室「2番」以降の受験生は体育館で待機させられますが、各室「1番」の受験生は研修施設の食堂のような場所に案内されます。その場所で、午前9時まで待たされます。

 以降、待機時間には基本的に参考書や資料を眺めて勉強することができます。「1番」でも1時間近くは待機時間がありますから、何かしら持って行くといいのかも知れません。私は弁護士職務基本規程を読んでいたほか、入室後の「あいさつ」を延々と脳内シミュレーションしていました。

午前9:00

 いわゆる「発射台」と呼ばれる場所に連行されます。なぜそう呼ばれているのか知りませんが、別にカタパルトが配備されているわけでもなく、50人ほどが入れそうな会議室に椅子が並べてあるだけです。この場所で、さらに15〜20分ほど待たされます。

 この場所まで辿り着くと、受験生1人につき、案内係1人がついてくれることになります。「サーヴァント」(あるいは「スタンド」)のようなおじさんが、受験生の横に1人ずつ立ってくれることになり、なかなかシュールな光景です。

午前9:20

 発射台から、試験が行われる部屋の前に連行されます。ビジネスホテルのような宿泊施設の、部屋の前の廊下で待機させられます。各室「1番」の受験生は午前9:30に一斉に入室させられるため、何十人もの受験生と案内係が腕時計を見ながら息を殺して待つことになります。

 正直に白状すると、私はこの瞬間が人生で一番緊張しました。心臓が飛び出そうなほど高鳴り、意味もなくヘラヘラ笑っていました。

(では、緊張はどうやって乗り越えればいいんでしょうか。片頭痛がひどくて人混みに行くたびにパニック症状を起こしていた私が、強度の有酸素運動を習慣化することで症状が緩和された…という、いかにも自己啓発本に出てきそうなエピソードを書きたいのですが、文章が長くなってきましたし、あまりに脱線するので、今回はやめておきます。)

午前9:30

 いよいよ試験開始です。問答を再現したものを以前に掲載しましたので、よろしければそちらをご参照ください。

article23.hatenablog.jp

午前9:50

 地獄のような20分間が終わると、いくつもの通路や階段を経由させられ、最終的に大きな会議室に案内されます。何室で受験したかによって、どの部屋に案内されるかはまちまちです。どの部屋も遠い場所にあることだけは変わりません。

(ここまで読んでもらえたらなんとなく察すると思いますが、とにかく移動が多いです。スーツケースなどはホテルに預けたほうが無難です。私も他の受験生のスーツケースを運ぶのを何度か手伝いましたが、過酷です。)

 この場所で、「午前」の受験生は、「午後」の受験生の集合時間まで身体拘束されます。「午前」と「午後」で同じ問題を使い回すため、問題の漏洩を防ぐ必要があるのだそうです。私は2日とも「午前」だったのでわかりませんが、「午後」の受験生は自分の順番が終わるとそのまま釈放してもらえるそうです。

 昨年度はコロナの影響で「三密」を避けて分散退室しなければならなかったこともあり、結局、3時間20分にわたって軟禁されました。司法試験委員会の皆様にはぜひ「人権」について学んでもらいたいと思っています。

 3時間20分の過ごし方は人それぞれでした。うなだれている受験生もいれば、キョロキョロして監督員に注意されている受験生もいます。私は手帳に再現の草稿を書き留め、残りの時間は翌日に向けた勉強をしていました。 

午後1:10

 ようやく解放。

 予備校の施策について無責任なことは申し上げられませんが、昨年度は、某予備校がLINEのオープンチャットというものを開設し、受験生同士が情報交換できるような仕組みを作ってくださっていました。試験後は帰り道にオープンチャットの申込みだけをして、早々に新浦安を離れました。

 無理な早起き、3時間以上の軟禁、極度の空腹、田舎特有の直射日光。それらすべてのダメージが蓄積した結果、試験後は頭痛がひどくてまったく勉強できませんでした。

午後12:00

 初日は以上です。

「次回、口述試験の当日の様子、刑事編。この次も、サービスサービス!」

 

(2021年8月4日追記)刑事編の記事を書きました。簡易なものですが、会場の図も作ってみましたので、よかったら覗いてみてください。

article23.hatenablog.jp