司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

くちびるに論証を(口述試験/対策編)

【読むとよいタイミング】予備試験の論文式終了後〜口述試験

 

 気づけば、司法試験の結果発表まで1か月を切っていました。

 このブログはもともと、私が司法試験のために読んだ、広い意味での「勉強法」に関する60冊の本についての情報をまとめる目的で始めました。今日までの時点で、まだ10冊程度しか紹介できていません。

 司法試験に不合格だった場合、ブログなぞ書かずに試験勉強に専念する予定ですので、これから結果発表までの間、思い残すことがないように記事を書こうと思います。

 というわけで、5回にわたって書いてきた予備試験の口述試験シリーズも、今回の「対策編」で最終回です。そもそも需要があったのかどうか自信がありませんが、私は書いてて楽しかったです。読んで頂き、ありがとうございました。

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(Pixabayからのイメージ画像)

目次

 

口述模試を申し込みましょう。

 私は当初、某予備校のオンライン形式の口述模試「1つ」しか申し込んでいませんでした。具体的な模試の内容を書くかどうか迷いましたが、ここでは書きません。ただ、試験勉強を始めて以来、もっともメンタルが破壊されました。

(これまでの記事に滲み出ていたかも知れませんが、私は伊藤真を崇拝しています。そのため、あんまり伊藤塾を直接的に批判するような内容は書きたくない…というのが心情です。)

 結局、別の予備校に泣きついて、対面形式での口述模試を受けさせてもらいました。運が良かっただけだと思いますが、丁寧なアドバイスももらえて、メンタルも無事に立て直して(絶不調→不調)、本番を迎えることができました。

 というわけで、リスク分散の観点から、2つ以上の口述模試に申し込むのは「必須」と考えたほうがいいと私は考えています。そして、このようなご時世ですが、できる限り「対面形式」で模試を行ってくれる予備校を探したほうがいいと私は思います。

再現問答を入手しましょう。

 短答式試験には短答式試験の問題集が存在し、論文式試験には論文式試験の問題集が存在しますが、口述試験にはその「問題集」に当たるものが存在しません。そのため、過去問の重要性が格段に高くなります。

 予備校の施策について無責任なことは申し上げられませんが、昨年度は、伊藤塾の口述模試に申し込むことで再現問答の冊子をもらうことができました。そのほか(1)後述の「定石」の付録、(2)辰巳の論文再現の購入者特典、(3)ブログやtwitterやnoteに晒してあるものを探すこと等で入手することができます。

 最近のものとしては、(4)ハイローヤー2021年夏号に、平成30年度、令和元年度、令和2年度の再現問答が掲載されています。(目次に「再現ドキュメント」と書いてあったので、ドキュメンタリー形式で読めるのかと期待してしまいましたが、普通の再現問答でした。)

 私も以前に晒した再現問答がありますので、よろしければご覧ください。

article23.hatenablog.jp

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声に出して勉強しましょう。

 頭の中に知識として蓄えてあっても、それをすんなり口述できるとは限りません。スポーツや楽器演奏などの身体動作の練習と同様、反復練習を通じて基本的動作を身体に覚え込ませることが重要だと私は考えています。

 ピアノを弾こうと思ったら、バイエルから始めて、細かい手の動きを身体に叩き込んでから、ラフマニノフに挑戦しますよね(飛躍しすぎか…)。要件事実を声に出して読み上げるのも、それと同じだと思います。

民事実務・実体法(民法

 何はともあれ、要件事実。いわゆる「大島本(基礎・上)」を読みました。過去問を見ると「訴訟物」「請求の趣旨」「請求原因事実」が繰り返し問われています。この本では、これらがわかりやすく囲われて強調されていたりするので、その部分をひたすら声に出して読んでいました。

民事実務・手続法(主に民訴法)

 再現問答を読んで頂くとわかる通り、昨年度、1日目の民事では手続法分野が一切出題されませんでした。過去問を見ても、出題分野がバラバラで、なかなか対策が立てづらいです。

 そのため、民事訴訟法については、過去問で出題された条文周辺だけを復習しました。民事執行法民事保全法については、基礎的な部分だけが問われているようでしたので、いわゆる「大島本(入門)」の該当部分の解説を読みました。

刑事実務・実体法(刑法)

 過去問を見ると、刑法分野は「構成要件」や「定義」について高頻度で、かつ、広範囲に聞かれる印象があったので、基本書を読むことにしました。

 私は法学については学習歴2年の新参者ですので、基本書に関してあれこれ申し上げられるほどの立場にありません。ただ、いくつか見比べて「学説の対立を意識した読みやすい解説」が書かれていたため、前田雅英先生の基本書を読みました。

 実際、公務執行妨害罪の錯誤に関する出題に対しては、この本に書いてあった二分説の解説を思い出しながら答えただけで済みました。

刑事実務・手続法(刑訴法)

 刑事実務の手続法分野は、民事実務と比較すると、対策が立てやすいと思います。というのも、出題される刑事訴訟法・刑事訴訟規則の条文がある程度決まっていて、それに対応したテキストが出版されているからです。

 試験会場で周囲をキョロキョロ見渡すと、辰巳の「青い本」を持っている受験生が受験生が多い印象を受けました。私は辰巳の本の装丁・本文デザイン・図・フォントの美的感覚が好みに合わないので、「定石」を読みました。

 ただ、過去問を見ると、かなり細かい条文知識も問われています。具体的には、証人の遮蔽措置・付き添い、予断排除原則、被害者特定事項の秘匿、証拠の厳選、勾留質問、緊急執行といった事項に関する出題がありました。

 私はこれらの事項について、口述試験の勉強を始めるまで何も知らなかったため、とても焦りました。公判前整理手続も高頻度で問われていますし、刑事訴訟法は、条文の素読の優先順位が相対的に高いと思います。

法曹倫理

 あんまり無責任なことは言えませんが、これまでの出題を見る限り、過去問で出題された弁護士職務基本規程の条文を確認するだけで十分対応できると感じました。

 ただ、それでも不安な場合(私も受験前は不安でした)、民事分野は「大島本(入門)」、刑事分野は「定石」に法曹倫理に関する解説がありますので、それらを読んでおくと安心できると思います。

 また、過去問を見ていると、条文の内容がストレートに聞かれる印象が強かったので、試験当日は基本的にずっと弁護士職務基本規程を読んで過ごしました。

精神面のコンディションを整えましょう。 

 最後は精神論かい、というツッコミが聞こえてきそうですが、最後は精神論です。

 私はとにかく不安で不安でたまらなかったので、ネット上の口述試験の体験談を手当たり次第に読みました。すると、不合格者はパニックを起こして、「知っているのに答えられない」「わかっているのに説明できない」状態に陥って、不合格になるケースが多いようです。不安を和らげたくて読んだのに、不安が逆効果だとわかり、余計に不安になっただけでした。

 最終的な不安の和らげ方は人それぞれだと思います。私の場合、もっとも不安を和らげるのに効果的なのは「勉強すること」でした。

 

 最後に。

 おそらく口述試験は人生屈指の「嫌な思い出」になると思いますが、新・司法試験しか受けていない人々には経験できない思い出です。

 以前、旧・司法試験を受験した数名に話を聞く機会がありました。口述試験について尋ねると、皆それぞれにおもしろいエピソードを持っていました。

 共感は求めませんが、私は個人的に「旧・司法試験組」を無条件で尊敬することにしています。そんなレジェンズたちと「嫌な思い出」を共有できたのが、とてもうれしかったです。せっかくなので、たくさんの思い出を持ち帰ってください。

 長かった口述試験シリーズ、もし全部読んでくださった方がいらっしゃったら、長々とお付き合い頂いてありがとうございました。無事に通過されることを祈っています。