司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

ロジャー・バニスターを追え

【読むとよいタイミング】最初

 

 先日、にほんブログ村の「予備試験」カテゴリーで、おそらく一時的にですが、1位となっていました。たくさん投票して頂き、本当にありがとうございます。もう少し頑張って書き続けようと思います。

 さて、前回の記事でも書いたので しつこいかもしれませんが、このブログはもともと、私が司法試験のために読んだ、広い意味での「勉強法」に関する60冊の本についての情報をまとめる目的で始めました。

 しかし冷静に考えてみると、60冊すべてがおすすめ!というわけではありませんでした。

 まず、体感的に20冊を超えたあたりで気づき始めたのですが、80%くらいの「まともな本」に書いてある内容は、80%くらいの内容が、少なくとも1冊の別の本と重複するような気がします。というのも、まともな本は「科学的な根拠」をもとに書かれていて、その科学的に妥当な結論はおおむね一致するからです。

 他方、20%くらいの「まともじゃない本」に書いてある内容は、百花繚乱、千差万別でした。何の科学的根拠も無い「オレ流・ワタシ流の勉強法」は、何を書いてもいいからです。ガラパゴス的な独自の進化を遂げていました。

 友達と飲み会で話すのであれば、「まともじゃない本」の内容を紹介したほうが楽しいのですが、ここでそんなことを書いたら著者の営業妨害になるので、やめておきます。ただ、「これって科学的根拠があるのかな?」と思いながら接するだけで害は防げると思いますので、それだけ伝えておきます。

 というわけで今回は、従来より漠然としたテーマになってしまいますが、「勉強を始めるに当たっての心構え」の参考になる本を紹介したいと思います。あるいは、「勉強を始める前に伝えておきたいこと」を書きます。

 

目次

 

その情報は古くないか?

 そもそもなぜこんなテーマで書こうと思ったかというと、前々回あたりの記事で紹介した『21 Lessons』(河出書房新社)にこんな文章があったからです。

 というわけで、メキシコやインドやアラバマ州のどこかの時代後れの学校で身動きが取れなくなっている十五歳の子供に私が与えられる最善の助言は、大人に頼りすぎないこと、だ。ほとんどの大人は、良かれと思って行動しているが、どうしても世の中が理解できずにいる。過去には、大人の教えに従っていれば、まず間違いがなかった。大人たちは世の中をとてもよく知っていたし、世の中の変化はゆっくりしたものだったからだ。だが、二一世紀にはそうはいかないだろう。変化のペースが加速しているせいで、大人の言うことが時代を超越した叡智なのか、それとも古臭い偏見なのか、けっして確信が持てない。(p.344から引用)

 このブログで閲覧数が多い記事の1つに、単語カードではなく単語帳アプリを使った暗記を勧める記事があります。「スマホアプリ」なんてものが登場してからせいぜい10数年ですから、10年以上前の「勉強法」には登場しない情報です。

article23.hatenablog.jp

 そのほか、週2〜3回、30分程度の有酸素運動によって、記憶を促すBDNF(ニューロンの結合を促す「養分」のようなもの)が増大するという事実が、最近の勉強法に関する本では「常識」のように書かれていますが、10年以上前の本では見かけたことがありません。

 図書館の本には「時代を超越した叡智」が詰まったものが無数にありますが、勉強法に関する限り、身銭を切って、書店やAmazonで新刊を探すことを勧めます。

どのくらいの割合の時間を準備に費やすか?

学習成果 = 学習時間 × 学習効率(イメージ)

学習成果 = 学習時間 × 学習効率(イメージ)

 試験勉強を始める前に、最新の勉強法について学んでおくことは有益です。ただ、60冊も読むのは明らかに無駄です。実際のところ、どれくらいの時間を準備に費やせばよいのでしょうか?

 答えというか、ヒントの書かれている本があります。「とにかく実践してみろ」式の勉強法に関する良書『ULTRA LEARNING』(ダイヤモンド社)です。

 この本では、準備に費やすべき時間を「プロジェクト全体の10%」としています。予備試験までに2000時間勉強するとしたら、200時間。明らかに多いですね。(ただ、彼は同時に、プロジェクトが大きくなればなるほど割合は減少する、とも言っています。)

 じゃあ結局どうすればいいんだ?!と問われると、私の経験に基づく、科学的根拠のない話になってしまいます。すみません。

 最初の100時間を勉強する前に、10時間くらいを準備に費やしてみるといいと思います。それで十分だと思えば、残り1900時間はそのまま勉強を続けたらいいと思いますし、足りないと思えば、また10時間くらい勉強法について学んでみたらいいと思います。

 滅多に機会は無いですが、他の受験生と話してみると、案外、勉強法について何も調べずに勉強を始める受験生が多いと感じたので、このようなことを書きました。論旨が伝わりにくかったら申し訳ないです。

あなたのロジャー・バニスターはどこにいる?

 この見出しの文言は、『Limitless』(東洋経済新報社)という本に出てくる見出しから借用させてもらいました。すみません。見出しとして、かっこよすぎないですか?

 ロジャー・バニスターとは、人類で初めて1マイル(約1.6km)を4分未満で走り切った陸上選手です。彼が4分未満で走り切るまで、人類が1マイルを4分未満で走ることなんて不可能だと考えられていました。

 しかし、いざ彼が4分未満で走り切ってみせると、その後、他の陸上選手も続々と4分未満で走り切ることができたのです。すなわち、「4分未満で走ることなんて不可能」という「常識」が、人々に無意識の天井を設けていただけでした。

(なんだか「日本人は100mを10秒以内で走ることなんて不可能」と考えられていた状況と似ていますね。ここ数年、続々と9秒台で走る日本人選手が登場しています。)

 私にとってのロジャー・バニスターは、河野玄斗氏でした。週刊誌のゴシップを読むのが大好きな私としては、彼について書きたいことが山ほどあります…が、ここでは「予備試験に半年で合格した天才」とだけ紹介しておきます。

 おそらく彼の脳ミソの容量は、私の2倍はあるでしょう。しかし、もし本当に2倍だとすると、彼が「半年」で合格できたんだから、自分も2倍の「1年」勉強したら合格できるのではないか?と考えました。(算数の苦手な人間の、バカみたいな計算ですみません…)

 私は奇跡的に運の良い人間なので*1、あまり参考にならないかもしれませんが、実際に私は彼の2倍くらいの期間を勉強して、予備試験を通過することができました。

 もし、予備試験の合格までに必要な期間について、無意識の天井を設けているのであれば、今すぐ取り去ったほうがいいと思います。私の知る限り、人類の最短記録は「半年」です。

 なお、この記事の本筋とは離れますが、この本を読むと、彼のような天才も「想起」「反復」「分散」といった、勉強法の王道を歩んでいることがわかります。それはそれでとても勇気づけられます。(ただ、その歩き方が重装歩兵というか、ガンタンクというか、とにかく力強くて圧倒されます…)

お詫び

 なんだか当たり前のように、有酸素運動が記憶に欠かせない、とか、「想起」「反復」「分散」が勉強法の王道である、とか書きましたが、よくよく考えたら、それらのテーマに関する記事を書いていませんでした。すみません、不親切ですね。

 いつか書きます。

 

(2021/9/1追記)

 ひとまず「想起」「反復」「分散」について学べる本を紹介する記事は書きました。

article23.hatenablog.jp

 

*1:さすがに「運の鍛え方」だけをテーマに記事を書くことは無い気がするので、脚注で本を紹介しておきます。自己啓発本の古典『運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則』(角川書店)です。Amazonのリンクはこちら。あやしい書名ですが、原題は“The Luck Factor”で、Luck(運)のFactor(要素)とは何なのか、というテーマで心理学者が書いた、まじめな本です。オススメ。