※この記事は司法試験や勉強法と無関係です。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年以上が経過しました。
当ブログに関しては、Googleさんが、毎月、「あんたのところのサイト、このワードでの検索結果からの流入が多かったよ」とメールで教えてくれます。開設当初からずっと「司法試験 暗記カード」が1位だったのですが、2022年の中頃から「戦争と平和 人物相関図」が1位に替わりました。
当該記事は“ネタバレしない人物相関図”をGoogle検索上位に表示させることを目的に書いたので、その達成をTwitter等で自慢したい気持ちもありました。しかし、『戦争と平和』は、表層的に読めば、ロシア軍の(特にクトゥーゾフの)軍功を称賛するような内容になっています。戦争を美しく描いているようにも読めます。そのため、Twitterで「不謹慎だろ!」と批判されるのが怖くて、勝手に自粛していました。
しかし冷静に考えれば、そんな批判してくるツイッタラーはきちんと『戦争と平和』を読んだことがないに決まっています(断言)。あれほど侵略戦争の悲惨さを生々しく描いた作品は他にありません。
というわけで、あらためて記事のリンクを貼っておきます。世界最高峰の文学作品です。読んだことがない方は、ぜひ読んでみてください。
さて、前置きが長くなりました。誰に何を言いたいのかよくわからない前置きでしたが、そういえば三島由紀夫『豊饒の海』の人物相関図も作りかけのまま放置していたな〜と思ったので、このたび、アップしておこうと思った次第です。
目次
なぜ『豊饒の海』の人物相関図なのか
無駄な前置きにさらに無駄な前置きを重ねます。
2023年現在、「豊饒の海 人物相関図」でGoogle検索をしても、人物相関図は1件も表示されません。そもそも需要がないのかもしれません。主に日本人の名前ですし、日本語で読んでいる限りは、特に混乱しないのだと思います。
『豊饒の海』は、第一巻から第四巻で構成される長編小説です。三島由紀夫が自決前に書き上げた最期の小説としても有名です。登場人物が思索にふける場面も多く、難解な(不可解な?)作品だと評されています。
私は高校生の頃、第一巻を読んで、第二巻の途中で挫折しました。法律について延々と語られる部分を読むのが無理だったからです。
その後、大学生の頃、ふたたび第一巻から読み始めて、第三巻の途中で挫折しました。輪廻転生について延々と語られる部分を読むのが無理だったからです。
そして司法試験後、みたび第一巻から読み始めて、ようやく第四巻まで読み終えました。おめでとう自分、ありがとう三島!
私は挫折するたびに登場人物をきれいさっぱり忘れていて、最初から読み直さなければなりませんでした。それはそれで良い体験だったわけですが、まずは最後まで読み通すことも重要です。というわけで、途中で何度も挫折した過去の自分のために、人物相関図を作ることにしました。
まずは、登場人物の名前だけが書かれたものです。
第一巻『春の雪』
以降、前回の記事と同様、各巻を読み終えた時点での人物相関図を掲載していきます。第一巻を読み終えた時点での人間関係が書かれていますから、第一巻を読んでいる途中に参照するとネタバレしてしまいます。第一巻を読み切ってからご参照ください。
婚姻関係は二重線、死亡した人間は灰色の網掛けで表示しています。
前回の記事は人物相関図の画像を貼るだけだったのですが、味気ないので、今回は各巻の好きなフレーズを引用してみました。
こんなに生きることの有難さを知った以上、それをいつまでも貪るつもりはございません。どんな夢にも終わりがあり、永遠なものは何もないのに、それを自分の権利と思うのは愚かではございませんか。(p.301)
第二巻『奔馬』
以下、第二巻以降も同様に続きます。それぞれの巻を読み切ってからご参照ください。
権力はどんな腐敗よりも純粋を怖れる性質があった。野蛮人が病気よりも医薬を怖れるように。(p.401)
第三巻『暁の寺』
救われるという資質の欠如。人が思わず手をさしのべて、自分も大切にしている或る輝やかしい価値の救済を企てずにはいられぬような、そういう危機を感じさせたことがなかった。(それこそは魅惑というものではないか。)遺憾ながら、彼は魅惑に欠けた
自立的な 人間だったのである。(p.129)
第四巻『天人五衰』
この辺まで来ると、年代からみて「明らかに亡くなっているんだろうなあ」と思う人物もいますが、作中で言及されていない限り、特に網掛けしていません(見落としがあったらすみません)。
彼は自分よりも五つも年上のこの醜い狂女に、同じ異類の同胞愛のようなものを感じていた。何であれこの世界を頑固に認めない人間が好きだった。(p.31)
本作に関係のない、本棚に関係のある話
私の実家には「本棚」が1個もありません。両親とも私以上によく本を読む人々だったのですが、本は、ベッドの下や押入れの中など、目立たないところに隠して(?)ありました。生まれてからずっとそのような環境で育ったため、実家を出るまで、特に違和感を抱きませんでした。
ところが大学生の頃、恋人の実家に遊びに行った際、廊下の壁一面の本棚に司馬遼太郎の本が並べてあるのを見て、すごい、と感激しました。そして私も、人生で初めて本棚を買いました。
翌年、実家に帰省した際、父に「なぜうちには本棚がないのか」と尋ねてみました。
父曰く、三島由紀夫の小説に、読み終えた本をすぐに暖炉で燃やす登場人物がいて、「本棚というのは、教養をひけらかしたい人間が持つものだ」と吐き捨てていた。そのセリフを読んで以来、本棚は買っていない、とのこと。
本当に教養のある人間がそういうこと言っているとかっこいいなあ、と思った私は、せっかく買った本棚に布を被せていました(つくづく他人に影響されやすい人間ですね…)。
私は長年、その、暖炉で本を燃やす人物の登場する小説が『豊饒の海』だと聞いていたように記憶していました。しかしこのたび、全巻を読み終えて、私の記憶違いだとわかりました。
果たして何の小説だったんでしょうか…?
三島由紀夫の全集を読むほどの時間的余裕があるわけでもなく、そもそも三島由紀夫の小説の話なのかも自信がなくなってしまいました。確かめる術がないので、もし何かご存知の方がいらっしゃったら教えてもらえるとありがたいです。