借りたくなったら電話して
【読むとよいタイミング】法律事務所を開業する前、開業直後
先日、Twitterに以下の投稿をしました。
とある無料相談にて相談者から「50万円貸してください」と言われたが、こちらも開業資金のため借金まみれだったので、ひたすら平謝りしてお引き取りいただいた
深く考えず「開業資金のため借金まみれであること」を自虐風に紹介しよう…などと思ったのですが、予想に反し、「相談者から借金を頼まれた」という部分に対する反響をたくさんいただきました。
コメントいただいた皆様、ありがとうございました。

予備試験を受験した方なら実務基礎科目で勉強しているかと思いますが、弁護士は依頼者との間で金を貸しても借りてもダメです(職務基本規程25条)。昨年も、依頼者から金を借りた懲戒事例がありました。賃貸の入居に際して「保証人になってください」と頼まれることもありますが、これもダメです(同条)。
ただ、個人的には、いきなり職務基本規程を持ち出して断るのはオススメしません。
弁護士にはとにかくヘイトが集まりやすいので、ヘイトの「逃げ道」を用意したほうがいいと個人的には考えています。特に、こんな非常識なお願いをしてくる相談者のヘイトが向けられてしまうと大変です。
ヘイトの逃げ道をどこに作るかは、ケースバイケースです。
今回の場合、役所の福祉課に「弁護士に相談しろ」と追い返されたそうなので(!)、私は相談者から役所に対する不満をとにかく聞き出して、自分は職務基本規程のせいで協力してあげられなくて本当に申し訳ないけど、役所の福祉課に行ってほしい、とお願いしました。
まあ、それが正解だったのかどうかはわかりません。巡り巡って、役人のヘイトがこっちに向くだけかもしれません。誰からも(物理的に)刺されないよう、慎重に、なんとか生き延びましょう。
日本政策金融公庫との出会い
さて、前置きが長くなりました。私は借金のことを書きたかったのです。
前の事務所を辞めた後、ほとんど仕事をせずに半年ほど過ごし、預貯金は引越しや旅行で消えました。どうやって生活していたの?と質問されることが多いのですが、そう、借金です。
日弁連の会員サイトには、「独立開業支援」というメニューがあります。会員限定、かつ、いつまでリンクが有効かわかりませんが、誰かの役に立つかもしれないので貼っておきます。
◆ https://member.nichibenren.or.jp/gyoumu/jimusho_unei/keiei_saiyou/dokuritu.html
ここに「即時・早期独立開業マニュアル」という、全40ページのPDFが掲載されています。その2ページ目に、日本政策金融公庫を利用した資金調達が紹介されていました。
同じ場所に掲載された「即時・早期独立経験談集(2015年9月版)」にも、日本政策金融公庫から資金調達をした事例がいくつか掲載されています。
借金のススメ
私の場合は、預貯金残高の底が見え始めていたので、もう「借金する」という選択肢しかありませんでした(いや、「仕事をする」という選択肢もあったのか…?)。
そうはいっても、あまり借金はしたくないな…という印象を持つ方も多いかもしれません。私もあまり良い印象はありませんでした。
ここで、当時たまたま読んでいた「新・貧乏はお金持ち」(プレジデント社)という本を紹介します。
この本のなかに「利子を払って信用を買う」という言葉が出てきます。
とても乱暴にまとめると、過去にきちんと融資を完済した実績があれば、次に融資を受ける際に審査が通りやすく、利率も低くなる。反対に、一度も融資を受けたことがない事業者は、いざ本当に資金が必要となった際に、信用がなくて融資を受けられない…という話です。
まあ、私も1回目の事業融資なので、この説が正しいかどうかは検証できていません。
しかし、世界的に株高が続いていますから、適当なインデックス銘柄を買って証券口座に入れておくだけで、年4%程度の運用は容易です。利率がこれより下回るようであれば、使わなかったとしても借りておくメリットは十分にあります。
いよいよ本題
さて、前置き(その2)が長くなりましたが、結局、私は日本政策金融公庫から借金をしました。
- ① どんな事前準備をしたのか
- ② いくら借りたのか
- ③ 自己資金はいくらだったのか
- ④ 利率は何パーセントだったのか、どうやって利率を下げる交渉をしたのか
- ⑤ 審査にどれくらいかかったのか、お金が振り込まれたのはいつだったのか
- ⑥ 創業計画書に何を書いたのか、創業計画書に何を添付したのか
- ⑦ 日本政策金融公庫から借金をしたことで、どんなメリットがあったのか
という話が本題なのですが、日本政策金融公庫がウェブサイトやパンフレットに書いていないことや、個人的な財政状況も赤裸々に書いてしまったので、限定公開とさせていただきます(限定公開なら本当に大丈夫のか、という気もしますが…)。
開業を検討されている方、開業したてで創業融資に興味のある方がいれば、読んでみてください。
年の名残り
サイトマップ(2025年12月現在)
※以下、雑記です。
なんとなく、毎年、司法試験の合格発表の月にサイトマップ(上記リストのこと)を更新していましたが、今年は気づけば年末を迎えていました。
今年の司法試験には知人が合格しており、先日、合格祝賀会を開催しました。他人の合格ってのは自分の合格よりも喜ばしいものですね。合格されたすべての皆様、おめでとうございます。
受験生の頃は「合格」しか目標がないですが、司法試験合格後は自分で目標を決めなければならず、悩ましいことが増えると思います。その分、楽しいことも増えると思うので、どうか踏ん張ってください。
一言にしていえば、肉体に関するすべては流れであり、霊魂に関するすべては夢である。
人生は戦いであり、旅のやどりであり、死後の名声は忘却にすぎない。
しからば我々を導きうるものはなんであろうか。
一つ、ただ一つ、哲学である。マルクス・アウレーリウス『自省録』(神谷美恵子訳)
個人的には、今年、独立開業を果たしました。「果たしました」と書いたのは、自分が受験生の頃からずっと目標にしていたからです。
よく伊藤真が「合格後に達成したい状態を具体的にイメージせよ」と言ってますよね(言ってましたよね…?)。私は地元に帰って独立開業した後の状態をずっとイメージしていました。
理想と現実で異なる部分はありましたが、まあ、おおむねイメージどおりの状態になれました。
そのため、最近は「次の目標」について考えることが増えました。こういうのは宣言することが重要ですから、この機会に宣言しておきます。
- 2027年3月までに国選登録を外す
- 2027年3月までに刑事当番登録を外す
- 2027年3月までに法テラスと縁を切る
- 2028年3月までに弁護士会の法律相談担当名簿から外す
…我ながらずいぶんネガティブな目標ですね。
大学3年生の頃、雑誌編集者の先輩が、就職先に悩んでいた私に対し、「何をしたいかイメージするのは難しいけど、何をしたくないかイメージするのは簡単」と教えてくれました。私は「早起きはしたくない」と思い、時間にルーズな業界で会社員をすることにしました。
独立開業してからは、毎朝、起床する時間を自分で決められます。ある意味では、大学生の頃からの夢が叶ったのかもしれません。
とはいえ、1人でやっていると、誰も何も交代してくれないので、信じられないくらい早起きして、夜中まで予定を詰めなければいけない日もあります。まあ、そういうのも含めて「起床する時間を自分で決める」ことができる、というだけです。
当ブログのサイトマップを更新しましたが、今年は2つの記事しか更新できていなかったようです。
独立したら暇だろうからたくさんブログでも書こうかな〜、なんて のんきに考えていましたが、案外、やることが山積みでした。引越し、登録換え、開業。プライベートでもいろいろあって、秋には入院もしました。
(余談。人生で初めて全身麻酔をして、麻酔医からは「夢も見ませんよ」と言われていましたが、私はちゃんと夢の中でアルバイトをしていました。ひょっとすると、死んだ後も夢の中で働き続けるのかもしれません。怖いですね。)

最後に、これも毎年恒例なのでやっておきます。訪問者とページ閲覧の集計。数字はブログ開始時点からの累計です。
| 訪問者数 | ページ閲覧数 | |
|---|---|---|
| 2021年9月時点 | 約1,100名 | 約6,300 |
| 2022年9月時点 | 約10,200名 | 約42,900 |
| 2023年11月時点 | 約25,000名 | 約85,800 |
| 2024年11月時点 | 約40,400名 | 約124,800 |
| 2025年12月時点 | 約61,400名 | 約170,500 |
今年はなぜだかTwitterのフォロワー数が増えたので、それで訪問者数が増えたのかな…と思いきや、Twitter経由の訪問者は全体の約21%でした。ブックマークとかしてくださっている「直接アクセス」の訪問者が約23%なので、ありがたいことだなと思っています。
と、分析をしてみていますけど、最近はほとんどがAIのアクセスだという新聞記事も読みましたし、こういう数字もだんだんアテにならなくなってしまっていますね。ぜんぶ、AIがTwitterを経由したりURLを直接入力したりしてアクセスしているだけなのかもしれません。
もしこんな年の瀬にこんな文章を最後まで読んでくれた人類がいるのであれば、ありがとうございました。このブログの文章はすべて、あなたと同じ、人類が手入力しています。本当です。まだ人類は滅びていません。希望は捨てずに、来年も頑張って生き延びましょう。
ミニマム経営弁護士、電話番号とFAX番号を買う。
【読むとよいタイミング】法律事務所を開業する前
先日、Twitterで開業の報告をしたところ、たくさん「いいね!」やお祝いのリプを頂戴しました。なんというか、本当に開業したんだな、という実感が初めて湧きました。ありがとうございます。
ただ、Twitterにも書いたとおり、登録換えとともに開業したので、全然仕事がないです。
開業前は「弁護士会の法律相談を頑張ろう!」と張り切っていましたが、年度途中の登録換えだと、名簿登録に様々な制限があるようです。当番の割当てがないのはもちろん、当番の引取りにも制限がありました。
ちなみに、国選の名簿登録には何の制限もありませんでした。名簿登録だけ頼んだのに、ありがたいことに、勝手に待機日まで配点してくださいました。
というわけで、次の国選待機日まで暇なので、ブログを書くことにしました。
いくつか書きたいテーマはあるのですが、まずは、開業に向けて自分がもっとも情熱(と金と時間)を注いだ「電話番号とFAX番号の取得」について書きます。思い出がいっぱい。

あとでもちょこちょこ出てきますが、電話番号とFAX番号を取得するに当たって、譲れない条件がいくつかありました。
まず、「①市外局番(東京「03-」等から始まる番号)が付いていること」です。感覚的なものでしかありませんが、自分が顧客側の立場で電話をかけるとき、市外局番が付いている番号のほうが安心感があるので、自分も市外局番が付いている番号がよかったのです。
次に、私は数字を暗記するのがとにかく苦手なので、「②覚えやすい番号であること」は必須条件でした。前の事務所に所属していたときは、2年経っても電話番号が覚えられず、接見の申込みの際、いちいち名刺を出して書き写していました。恥ずかしいし、面倒です。
同じ理由から、「③電話番号とFAX番号が連番であること」も必須条件でした。商売をしている親戚から「番号が近いと、間違って電話のほうにFAXがかかってくることがあって迷惑だよ〜」と教えてもらいましたが、実際、どうなんでしょうね。最終的に連番にしましたが、今のところ、間違って電話のほうにFAXをかけてくるひとはいません。
次に、「④電話が転送できること」も必須条件でした。いきなり事務員さんを雇用する予定ならともかく、誰もいなくて仕事もないのに、一日中、電話番のために事務所にいるのは苦行です。また、開業直後は準備や挨拶で外出することが多くなりますので、外出先で電話が取れないと不便です。
ちなみに、FAXは複合機の設定で比較的容易にメール転送できるので、あまり気にしなくても大丈夫だと思います。(受信はよいとして、事務所外からのFAX送信をどうするか、という問題は残りますが。)
最後に、「⑤高額な費用がかからないこと」も条件です。事務所の物件選びや什器の購入とは違って、「社長、もっと安くなりませんか〜?」みたいな交渉ができないので、利用料金に納得できるサービスに申し込むしかありません。「経費=死」です。
① 市外局番が付いていること
② 覚えやすい番号であること
③ 電話番号とFAX番号が連番であること
④ 電話が転送できること
⑤ 高額な費用がかからないこと
結局、以上の①~⑤の条件を満たすサービスに辿り着くまで、4社に申し込むことになりました。「050-」から始まる番号も含めると、7社です。それに加え、機器(VPNルーター)を購入して自作のネットワーク環境まで構築しました。無駄にした金額は5万6810円、無駄にした期間は59日間でした。
というわけで、ここからが本題…ではあるのですが、私が申し込んだサービスについて、インターネット上で公開されていないデメリットや具体的な金額(や悪口)も書いてしまったので、限定公開とさせていただきます。興味がある方は読んでみてください。
※ なお、アナログ電話ではなく、ひかり電話を前提にした記事です。アナログ電話を検討中の方には無益ですので、ご注意ください。
(2026/1/25追記)
先日、電話代行サービスの契約を始めました。2社しか比較検討できていませんが、具体的な利用料金や、契約したサービスの感想などを末尾に追記しました。

