司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。元会社員。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

ぼくは速読ができない

【読むとよいタイミング】勉強開始直後/時間不足に悩んだら

 

 本日は、公認会計士試験の論文式の最終日です。当ブログを公認会計士試験の受験生が読んでいるとも思えませんが、皆様が自らの実力を存分に発揮できたことを願っています。

 さて、かねてより「算数が苦手」と申し上げてきた私がなぜ公認会計士試験のことなんぞ知っているかというと、私の私淑する宇都出雅巳さんが、ブログやメルマガで受験体験記をリアルタイム更新されているからです。

ameblo.jp

 良い機会なので(?)、今回は「速読」について書いてみようと思います。

f:id:article23:20210821192307j:plain

(Pixabayからのイメージ画像)

 目次

 

なぜ速読が必要なのか?(長い言い訳)

 突然の自分語りで恐縮ですが、私はナチュラルボーン読書家ではありません。高校1年生の冬、とある事情で膨大な「余暇」が生じたため、本を読み始めました。そういう経緯ですから、ぷちぷち時間を潰すように本を読む、「超」がつくほどの遅読です。

 しかし、司法試験では速読が必須です。なぜならば、司法試験はタイムトライアル試験だからです。特に、予備試験よりも司法試験のほうが時間制限の厳しさを感じました。

 私は文字を書くのが絶望的に遅いので、答案1枚書くのに最大20分ほどかかります。2時間で答案を5枚(たったの5枚)書こうとすると、次のような時間配分になります。

 

・問題文を読む時間 10分
・答案構成する時間 10分
・答案を書く時間 20分 × 5枚 = 100分

 

 公法系第2問(行政法)なんかは、多い年で、問題文3枚、議事録3枚、関係法令4枚、要綱2枚ということがあります(平成28年度)。合計12枚の文章を10分で読もうとしたら、どうしたって速読するしかないのです。(極端な例ですが…)

 文学部卒で「読書が趣味」とか言っておきながら速読の話を書くと、「お前は速読しているのか!」と後ろ指をさされそうで怖いので、言い訳しておきました。(映画評論家が2倍速で映画観ていると言ったらみんな怒りますよね。そんな感じです。)長々とすみません。

『どん速』

 というわけで、本屋さんの「速読術」コーナーに行きました。まあ、とにかくうさんくさい本の多いこと。通常のメディア・リテラシーのある方なら読まないと思いますが、「写真のように一瞬で読む!」とか、「無意識の右脳で読む!」みたいなオカルト本が本当に置いてあるのです。

 まともな本はないかな…と片っ端から手に取ってみて、ようやく見つけました。『どんな本でも大量に読める「速読」の本』(大和書房)です。通称『どん速』。ようやくこの本の紹介まで辿り着きました。

 この本には、いわゆる「速読テクニック」も登場しますが、主要な主張は、知識量を増やすことによって読書スピードを上げよう、というものです。著者の言葉を引用します。

「速読できるようになりたい」と思うのであれば、速読技術を学ぶよりも、とにかく本を読むことなのです。

 これを司法試験の問題文に当てはめるとどうなるでしょうか? 「試験問題を早く読めるようになりたい」と思うのであれば、速読技術を学ぶよりも、とにかく勉強することなのです。

 この文章を読んでいる受験生のガッカリする姿が目に浮かびます。しかしもちろんガッカリさせるために書いたわけではありません。あなたの読むスピードが遅い理由は、時間をかけて読む必要が無い(=知識で読める)にもかかわらず、読み飛ばさずにじっくり読んでいるのが原因だと考えられます。

 これはもう知識で読めるな〜、と判断したら、勇気を出して読み飛ばしてみてください。ふだん基本書や判例を読むときにもそのことを意識してみるだけで、読み飛ばすことへの恐怖心が減り、格段に読むスピードが上がってきます。

 反対に、知識もないのに速読しようとは思わないほうがいいと思います。急がば回れ…なんて言い出したら老人の説教みたいですね。もうやめます。

 

 せっかくなのでもう一冊、宇都出さんの本を紹介します。『ゼロ秒勉強術』(大和書房)です。ゼロ秒解答、ゼロ秒読解、ゼロ秒試験、ゼロ秒勉強という4つの視点から、勉強法の改善を提唱する本です。

 先ほど、「司法試験はタイムトライアル」と書きました。おそらく時間不足に悩む受験生が多いと思います。その際、自分の「書く時間」や「読む時間」は可視化しやすいですが、案外、「思い出す時間」に費やしているという事実は盲点です。マジ盲点。

 さらに、以前長々とシリーズで書いた「口述試験」は、まさに「ゼロ秒」で即答する技術がストレートに求められる試験です。日頃の勉強のなかでも、ぜひ、自分が「思い出す時間」にどれだけ費やしているのか意識してみてください。

『Limitless』 

 もう一冊、速読について書かれた本を紹介します。『Limitless』(東洋経済新報社)です。当ブログでは三度目の登場になるかと思います。しつこくてすみません、この本のハイテンションがけっこう好きなんです。でもおそらく、今回で最後の登場です。

 細かい速読テクニックと、その具体的な鍛え方が紹介されています。その中で1つだけ紹介すると、「サブボーカライゼーションをやめろ」というアドバイスがあります。

 サブボーカライゼーションとは、頭の中で文字を読み上げることです。確かに我々も、小学生の頃から衆前での音読を拷問のように繰り返させられてきましたよね。それによって、無意識にサブボーカライゼーションが染み付いているひとが多いと言います。私もそうです。

 では、具体的にどうやったらサブボーカライゼーションをやめられるか、というと、「声に出して数字を数え上げながら読むこと」です。「いーち、にーい、さーん」と声に出しながら、文章を読むのです。なかなかに滑稽な姿ですが、やってみると案外、文章を「目で読む」ことに慣れてきます。

 …ちょっとうさんくさくなってきましたかね。この辺でやめます。

(ちなみに、別のアドバイスとして、「計測すること」も紹介されています。前回の記事にも「計測マニア」が登場しましたが、この本の著者もなかなかの計測マニアなのではないか…?と私は推測しています。)

蛇足

 最後にちょっと「わかりにくいこと」を書きます。ただの私見です。お前の考えなんぞ聞きたくない、という方は、読み飛ばしてください。

 私はこれまで「速読」に対する、嫌悪感、と言うと言い過ぎですが、なんかちょっと嫌な感情を抱いていました。その原因は何だったのでしょうか? いくつかの速読術の本と接してみて、少しだけわかったような気がします。

 おおかたの速読術のテクニックは、「本を好きじゃないひと」が書いている感じがするのです。本を読みたくない(本を読むこと“なんか”に時間を使いたくない)から、写真のように読んだり、無意識の右脳で読んでやろう、という魂胆が見え隠れします。

(ふたたび映画の比喩で恐縮ですが、ファスト映画なんか観なくても、映画観たくないなら観なければいいのに…という感覚に似ています。映画は観たくないけどあらすじは知りたい、本は読みたくないけど情報は得たい。むむむ。)

 それに対して、今回の記事で紹介した2冊は、「本を好きなひと」が書いた感じがします。もっともっと本を読みたいから、速読する。たくさん本を読むことによって、もっともっと速読できるようになる。この好循環です。

 そういうひとが書いた速読の本は、読んでいても「嫌な感じ」がしませんでした。むしろ私なんかよりも本への愛が強くて、頭が下がる思いをしました。

 まあ、最終的には「好き嫌い」の話でしかありません。今回の記事では批判的なことも書いてしまったので、不快に思われた方がいたら申し訳ありませんでした。先に謝っておきます。

 

読みつくした地図

【読むとよいタイミング】前回の記事の後(=2番目)

 

 今のところ、ペンギンが新型コロナウィルスに感染した…というニュースは聞きません。ただ、数年前、南極のペンギンからも活性化したウィルス(鳥インフルエンザ)が検出されたというニュースもありましたので、新型コロナに感染しないとも言い切れません。

 というわけで(?)、本日、ワクチンの1回目(個別接種)を打ってきました。打たれる側から近視眼的に見れば、副反応やら有効性やら嫌な情報も多いですが、俯瞰的に見たとき、コロナ収束に向かうために少しでも役に立てればいいなと思います。あらためて、医療に従事する皆様に感謝。

 さて、前回の記事では、テンションが上がってしまい、司法試験予備試験の最短合格の世界記録は「半年」である!といったことを書きました。ただ、冷静に考えてみたら、いきなり世界記録で走り切る話をされても困惑しますよね。

article23.hatenablog.jp

  河野玄斗氏のような「天才」ではない私にとっては、そもそもゴールまで歩き切るので精一杯でした。そして初めて歩く人間には、スタート地点からゴール地点まで歩き切るための「ルートマップ(地図)」が必要になります。

f:id:article23:20210818232001p:plain

 世の中には、各種予備校が出版している「予備試験についての本」が存在します。ここでは、そのような、予備試験について書かれた本を「ガイド本」と呼称することにします。

 というわけで、今回も前置きが長くなってしまいましたが、この記事では「おすすめのガイド本3冊」を紹介します。

 

目次

 

伊藤塾の出しているガイド本

 おいおいまた伊藤真かよ…と思われそうで怖いですが、またまた伊藤真です。まずは伊藤真です。この本には、予備試験を受験するにあたって必要な、予備試験に関する情報が網羅的に記載されています。

 合格者も不合格者もたくさん輩出している予備校の塾長が書いた本ですから、迷ったら、まずはこの本から読めば間違いないと思います。私もこの本から読み始めましたし、この本によって人生最大の分岐点を迎えることになりました。

LECの出しているガイド本

 ひととなりを詳しく存じ上げませんが、LECの“名物講師”と評判の柴田孝之氏も、予備試験のガイド本を出しています。その名も「完全攻略本」。今回の記事の中では、私がもっとも積極的に勧める本です。

 伊藤塾のガイド本は「客観的な情報」の比重が高いのに対して、この本は「主観的な情報」の比重が高めです。柴田氏の考える、予備試験合格までの道すじが、かなり詳しく記載されています。

 私は前回の記事で『ULTRA LEARNING』(ダイヤモンド社)という本を紹介しました。この本の教えは、ひとことで言えば「とにかく実践してみろ」です。(もうひとこと追加するならば「さっさと実践を始めろ」です。)柴田氏の教えもこれに近いものがあり、「論文を書くこと」を強く推奨しています。

 また、この完全攻略本には、末尾に実際の合格者(2回受験)の体験談(に柴田氏のコメントを加えたもの)が掲載されています。柴田氏の理論を読んだ後にこの体験談を読むと、合格のイメージが具体的にわきます。私も節目ごとに何度も読み返して、ガイド本としては一番活用しました。

 唯一、難点をあげるとすれば、この本は出版が2014年なので、少し情報が古いです。改訂を期待していたのですが、先ほどWikipediaで見たところ、2021年現在は三重県で町長さんをやられているようなので、あまり期待できないのかもしれません。客観的なデータなどは、伊藤塾のガイド本(2018年出版)で補完することを勧めます。

資格スクエアの出しているガイド本

 2020年夏にテキストの著作権侵害問題を発生させてから、新しい本は出版していない資格スクエア。個人的には代表の鬼頭政人氏の本のファンなので、またいつか新刊が読みたいものです。

 鬼頭氏は勉強法に関する本の中で、自らを「計測マニア」と紹介しています。受験生時代には首からストップウォッチをさげて、勉強時間だけではなく、食事やお風呂など、あらゆる時間を計測していたそうです。

 さすがにストップウォッチなるものは持っていませんが、私も、スマホのアプリを使って、過去問を解く際に「問題文を読む時間」「答案構成の時間」「答案1枚あたりの時間」すべてを計測して記録していました。同じ計測マニア仲間として、とても親近感がわきます。

 では、なぜ計測マニア(あるいは「記録魔」)が資格試験に強いのか…という話は、さすがに話の本筋から離れるので、またそのテーマで書く機会があれば書きます。

 さて、そんな資格スクエアも、予備試験のガイド本を出版しています。(さんざん鬼頭氏の話をしておきながら大変恐縮ですが、この本は別の講師が書いた本です。)

 なんてったって、薄くて読みやすいです。Amazonに登録されたデータによると、154ページ(前述の「完全攻略本」は、519ページ)。「予備試験を一発突破するための15の法則」「予備試験に関する10の質問」のような細かい見出しが設定されているのも、非常に読みやすいポイントです。

(前述の伊藤真や柴田氏にも共通して言えることですが、)このガイド本の著者は、予備校講師として多くの受験生を見てきた経験から、合格者に共通する法則、あるいは、不合格者に共通する法則を抽出しているため、説得力があります。

 少しだけ紹介すると、法則の1つ目は「受験ウォリアーに習え」でした。小学生の頃から成功体験を積み重ねてきたような、戦闘経験が豊富な受験生のことだそうです。おもしろい表現ですよね。

 そういう「たかが受験の1つ」と捉えている受験ウォリアーのほうが、案外あっさり合格するものだそうです。どうでしょう、身近な人物で心当たりはありますか?

 私自身は高校まで近所の公立学校にしか通ったことがなく、受験ウォリアーではありません。しかし、大学には、小学校時代から受験勉強をしてきたような受験ウォリアーの友達がいました。

 ある日、飲み会の帰りにその友達の家に泊まりに行ったら、当たり前のように、机に向かって勉強を始めました。曰く、「だって、明日の予習せなあかん」。

 ドラゴン桜には「歯を磨くように勉強せよ」という有名な箴言が登場します。私たちが歯を磨かなければ寝られないように、受験ウォリアーは「明日の予習せな」寝られないんだ…と驚いた記憶があります。大学時代には「このひとには一生追いつけない…」としか思いませんでしたが、確かに、資格試験を受けるのであれば受験ウォリアーのようになることが重要なのかもしれません。

 

 すみません、思い出話なんかしていたら、思いのほか冗長になってしまいました。一旦歩き始めたら途中で迷子にならないよう、お好きなガイド本を片手に、予備試験合格までの道を歩き切ってください。

 

ロジャー・バニスターを追え

【読むとよいタイミング】最初

 

 先日、にほんブログ村の「予備試験」カテゴリーで、おそらく一時的にですが、1位となっていました。たくさん投票して頂き、本当にありがとうございます。もう少し頑張って書き続けようと思います。

 さて、前回の記事でも書いたので しつこいかもしれませんが、このブログはもともと、私が司法試験のために読んだ、広い意味での「勉強法」に関する60冊の本についての情報をまとめる目的で始めました。

 しかし冷静に考えてみると、60冊すべてがおすすめ!というわけではありませんでした。

 まず、体感的に20冊を超えたあたりで気づき始めたのですが、80%くらいの「まともな本」に書いてある内容は、80%くらいの内容が、少なくとも1冊の別の本と重複するような気がします。というのも、まともな本は「科学的な根拠」をもとに書かれていて、その科学的に妥当な結論はおおむね一致するからです。

 他方、20%くらいの「まともじゃない本」に書いてある内容は、百花繚乱、千差万別でした。何の科学的根拠も無い「オレ流・ワタシ流の勉強法」は、何を書いてもいいからです。ガラパゴス的な独自の進化を遂げていました。

 友達と飲み会で話すのであれば、「まともじゃない本」の内容を紹介したほうが楽しいのですが、ここでそんなことを書いたら著者の営業妨害になるので、やめておきます。ただ、「これって科学的根拠があるのかな?」と思いながら接するだけで害は防げると思いますので、それだけ伝えておきます。

 というわけで今回は、従来より漠然としたテーマになってしまいますが、「勉強を始めるに当たっての心構え」の参考になる本を紹介したいと思います。あるいは、「勉強を始める前に伝えておきたいこと」を書きます。

 

目次

 

その情報は古くないか?

 そもそもなぜこんなテーマで書こうと思ったかというと、前々回あたりの記事で紹介した『21 Lessons』(河出書房新社)にこんな文章があったからです。

 というわけで、メキシコやインドやアラバマ州のどこかの時代後れの学校で身動きが取れなくなっている十五歳の子供に私が与えられる最善の助言は、大人に頼りすぎないこと、だ。ほとんどの大人は、良かれと思って行動しているが、どうしても世の中が理解できずにいる。過去には、大人の教えに従っていれば、まず間違いがなかった。大人たちは世の中をとてもよく知っていたし、世の中の変化はゆっくりしたものだったからだ。だが、二一世紀にはそうはいかないだろう。変化のペースが加速しているせいで、大人の言うことが時代を超越した叡智なのか、それとも古臭い偏見なのか、けっして確信が持てない。(p.344から引用)

 このブログで閲覧数が多い記事の1つに、単語カードではなく単語帳アプリを使った暗記を勧める記事があります。「スマホアプリ」なんてものが登場してからせいぜい10数年ですから、10年以上前の「勉強法」には登場しない情報です。

article23.hatenablog.jp

 そのほか、週2〜3回、30分程度の有酸素運動によって、記憶を促すBDNF(ニューロンの結合を促す「養分」のようなもの)が増大するという事実が、最近の勉強法に関する本では「常識」のように書かれていますが、10年以上前の本では見かけたことがありません。

 図書館の本には「時代を超越した叡智」が詰まったものが無数にありますが、勉強法に関する限り、身銭を切って、書店やAmazonで新刊を探すことを勧めます。

どのくらいの割合の時間を準備に費やすか?

学習成果 = 学習時間 × 学習効率(イメージ)

学習成果 = 学習時間 × 学習効率(イメージ)

 試験勉強を始める前に、最新の勉強法について学んでおくことは有益です。ただ、60冊も読むのは明らかに無駄です。実際のところ、どれくらいの時間を準備に費やせばよいのでしょうか?

 答えというか、ヒントの書かれている本があります。「とにかく実践してみろ」式の勉強法に関する良書『ULTRA LEARNING』(ダイヤモンド社)です。

 この本では、準備に費やすべき時間を「プロジェクト全体の10%」としています。予備試験までに2000時間勉強するとしたら、200時間。明らかに多いですね。(ただ、彼は同時に、プロジェクトが大きくなればなるほど割合は減少する、とも言っています。)

 じゃあ結局どうすればいいんだ?!と問われると、私の経験に基づく、科学的根拠のない話になってしまいます。すみません。

 最初の100時間を勉強する前に、10時間くらいを準備に費やしてみるといいと思います。それで十分だと思えば、残り1900時間はそのまま勉強を続けたらいいと思いますし、足りないと思えば、また10時間くらい勉強法について学んでみたらいいと思います。

 滅多に機会は無いですが、他の受験生と話してみると、案外、勉強法について何も調べずに勉強を始める受験生が多いと感じたので、このようなことを書きました。論旨が伝わりにくかったら申し訳ないです。

あなたのロジャー・バニスターはどこにいる?

 この見出しの文言は、『Limitless』(東洋経済新報社)という本に出てくる見出しから借用させてもらいました。すみません。見出しとして、かっこよすぎないですか?

 ロジャー・バニスターとは、人類で初めて1マイル(約1.6km)を4分未満で走り切った陸上選手です。彼が4分未満で走り切るまで、人類が1マイルを4分未満で走ることなんて不可能だと考えられていました。

 しかし、いざ彼が4分未満で走り切ってみせると、その後、他の陸上選手も続々と4分未満で走り切ることができたのです。すなわち、「4分未満で走ることなんて不可能」という「常識」が、人々に無意識の天井を設けていただけでした。

(なんだか「日本人は100mを10秒以内で走ることなんて不可能」と考えられていた状況と似ていますね。ここ数年、続々と9秒台で走る日本人選手が登場しています。)

 私にとってのロジャー・バニスターは、河野玄斗氏でした。週刊誌のゴシップを読むのが大好きな私としては、彼について書きたいことが山ほどあります…が、ここでは「予備試験に半年で合格した天才」とだけ紹介しておきます。

 おそらく彼の脳ミソの容量は、私の2倍はあるでしょう。しかし、もし本当に2倍だとすると、彼が「半年」で合格できたんだから、自分も2倍の「1年」勉強したら合格できるのではないか?と考えました。(算数の苦手な人間の、バカみたいな計算ですみません…)

 私は奇跡的に運の良い人間なので*1、あまり参考にならないかもしれませんが、実際に私は彼の2倍くらいの期間を勉強して、予備試験を通過することができました。

 もし、予備試験の合格までに必要な期間について、無意識の天井を設けているのであれば、今すぐ取り去ったほうがいいと思います。私の知る限り、人類の最短記録は「半年」です。

 なお、この記事の本筋とは離れますが、この本を読むと、彼のような天才も「想起」「反復」「分散」といった、勉強法の王道を歩んでいることがわかります。それはそれでとても勇気づけられます。(ただ、その歩き方が重装歩兵というか、ガンタンクというか、とにかく力強くて圧倒されます…)

お詫び

 なんだか当たり前のように、有酸素運動が記憶に欠かせない、とか、「想起」「反復」「分散」が勉強法の王道である、とか書きましたが、よくよく考えたら、それらのテーマに関する記事を書いていませんでした。すみません、不親切ですね。

 いつか書きます。

 

(2021/9/1追記)

 ひとまず「想起」「反復」「分散」について学べる本を紹介する記事は書きました。

article23.hatenablog.jp

 

(2021/10/16追記)

 有酸素運動が記憶に欠かせない、ということを紹介する記事も書きました。

article23.hatenablog.jp

article23.hatenablog.jp

 

*1:さすがに「運の鍛え方」だけをテーマに記事を書くことは無い気がするので、脚注で本を紹介しておきます。自己啓発本の古典『運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則』(角川書店)です。Amazonのリンクはこちら。あやしい書名ですが、原題は“The Luck Factor”で、Luck(運)のFactor(要素)とは何なのか、というテーマで心理学者が書いた、まじめな本です。オススメ。