司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

司法試験予備試験に1年合格したペンギンの備忘録

文学部卒。元会社員。2019年夏頃から勉強を始め、2020年度の司法試験予備試験・2021年度の司法試験を通過しました。

人の演習書を笑うな

【読むとよいタイミング】論文式試験の前

 

 先日、令和4年度の司法試験があったそうです。受験された方々、本当にお疲れ様でした。つらい試験ですよね。人生でもう二度とこんな人権侵害をされることもないだろう…と思っている方々に朗報です。司法修習でさらなる人権侵害が待っています!

 …冗談はさておき。

 昨年から「伊藤真との対談のオファーが来ないなあ〜」と嘆いていたのですが、ついに最新の受験生ではなくなってしまったので、さすがに諦めました。

 そして「そういえば『受験新報』の執筆依頼も来ないなあ〜」と思っていたら、どうやら2020年夏に休刊になっていたようですね。残念。

 というわけで、勝手に書くことにしました。「オレ/ワタシの使った演習書」をドヤ顔で紹介する記事です。実はずっと憧れていたんです。

(pixabayからのイメージ画像)

目次

はじめに

 そもそも伊藤真信者なのに市販の演習書なんて使っていたのか、というツッコミが予想されますので、先に経緯を説明しておきます。演習書を「使った」と言えるほどのものではなく、ただ「読んだ」だけです。

 2020年4月8日、司法試験と予備試験の延期が決まりました。

 別に勉強のやる気を失ったわけではないんですが、なんというか、そわそわして勉強に集中できなくなってしまいました。あの初めての緊急事態宣言の感覚を思い出すのも難しいんですが、変な感覚でしたよね。

 そんな状況のもと、もともと読書は趣味なので、まあ、読むだけなら気楽でいいか〜、と思って演習書を読み始めました。

 以前、何かの記事でも紹介しましたが、河野玄斗氏の勉強法に関する本にはオススメの演習書も載っています。刑法・刑訴法・民訴法・行政法はそれを参考に買いました。残りの科目は、予備校の職員さんに紹介してもらった本です。

 どの本も勉強になったから紹介するわけですが、せっかくなので、役に立ったと思う順番に紹介します。改訂前の版を読んだものも多いので、紹介されている設問数はあくまで参考値だと捉えてください。すみません。

1. 刑事訴訟法『事例演習刑事訴訟法

 最初に紹介するのは、古江先生の演習書です。この筆者は絶対にものすごく頭が良いんだろうな、ということがビシビシ伝わってくる本です。この本に感動したからこそ、他の科目も演習書を読んでみようと思えました。

 全体的にオススメですが、個人的には「まえがき」に当たる部分が一番シビれました。一部だけ紹介すると、答案によく見られる「本件の令状は違法である。」「甲の自白は、自白法則により無効である。」といった文章の誤りを指摘した上で、次のように述べます。

A君:なるほど……。でも、えらく細かいなあ。

教員:実務法曹にとっては言葉が命なのだよ。これらは決して些細なことではない。実務法曹は、オリンピックの体操選手のように足のつま先まできちんと揃っていなければならない職業なんだ。

 引用箇所を見てもらえればわかるとおり、この本は、対話形式になっているのが最大の特徴です。33個の設問について、A君とBさんと教員が延々と議論し続けます。私はこの形式がとても読みやすかったのですが、読みにくいと感じるひともいるようです。

 ちなみに、先ほど、2つの「間違った文章」を紹介しましたが、どこが間違っているのかわかりましたか? 何の違和感もなかった、という方にこそ、ぜひ読んでほしい本です。

2. 会社法『事例で考える会社法

 いきなり長々と紹介しすぎたので、ここからは簡潔に紹介します。

 この本は全部で25個の事例を解説したものです。大きな特徴として、事例1〜6に参考答案がついています。参考答案がついていない事例に関しても、いわゆる「論証」や「当てはめ」を意識した解説がなされているので、とても参考になります。

 ただ、共著本のため、解説のわかりやすさにバラツキがあります。1人だけ、とても解説がわかりにくい先生がいます。自分の脳みそが壊れたんじゃないか…と不安になるくらい理解できない解説でしたが、某書評サイトでも同じ先生が名指しで批判されていたので、自分の脳みそが壊れたわけではないんだと思っています。

3. 行政法『事例研究行政法

 この本は、第1部から第3部まで分かれていて、それぞれ8問・17問・7問の事例問題を扱っています。

 河野玄斗氏は「時間がなければ第1部の答案構成だけでもOK」という趣旨のことを書いています。確かに第2部、第3部と進むにつれて、マニアックな話が増えてきます。読み物としては最後まで面白いですが、受験対策という観点からは第1部を読むだけでも十分かもしれません。

 私はこの本の第1部を読んでから、処分性とか原告適格について何もわかっていなかったんだな、ということにようやく気づけました。感謝しています。

4. 刑法『刑法事例演習教材』

 この本の特徴は、設問数が48個と、とても多い点です。この本で紹介されている事例について論点がすぐに思い浮かぶくらいになれば、ひとまず司法試験までは安心だと思います。

 他方、設問が48個もあるのにページ数が250ページくらいしかないので、一部、解説がとても簡素な設問があります。解説が簡素だから重要性が低い、というわけでもないので、わからない点は放置しないように気をつけましょう(添削者みたいに偉そうなことを言ってすみません)。

5. 民事訴訟法『基礎演習民事訴訟法』

 全部で30個の論点について、それぞれいくつかの設問が載っています。それぞれの設問に関する解説があった上で、それぞれのテーマにおまけの発展問題までついています。共著本なので、解説のわかりやすさには若干のバラツキがあります。

 全体的にわかりやすいし、網羅性もあるので、何も不満はないのですが、他の科目で紹介した演習書のような感動はありませんでした。(おそらく、私が民訴が一番好きな科目で、もともときちんと勉強していたからだと思います。)

6. 民法民法演習サブノート210問』

 他の科目で紹介した演習書と比較すると「演習書っぽさ」が足りないので、最後に紹介しています。この本は、タイトルにあるとおり「210問」について、問題が1ページ、解説も1ページにまとめられているものです。

 予備試験よりも司法試験に顕著な特徴ですが、民法では「小テスト」のような設問が出題されます。私が受けた令和3年度の民法にも「指図による占有移転でも即時取得できるか?」という簡単な問題が含まれていました。(令和2年度は予備試験でも「後見人就任後に追認拒絶できるか?」という小テストみたいな問題が出ました。)

 他の受験生に尋ねたことがないのでわかりませんが、民法だけは「全部の論点を網羅してるよ!」って胸を張って言える受験生がいないのではないでしょうか。この本で取り上げられている210問はほとんど全てが重要なものなので(少しだけ特別法がらみのマニアックな問題が含まれますが)、抜け・漏れがないかの最終確認のために読んでみてもいいと思います。

7. 憲法『事例問題から考える憲法

 憲法については、前回、詳しく書いたのでそちらの記事をご参照ください。

article23.hatenablog.jp

番外編 労働法『事例演習労働法』

 今回は予備試験前に読んだ演習書を紹介する記事なので、労働法は「番外編」としておきました。ただ、救われた度合いとしてはトップです。以下の記事で詳しく紹介しているので、労働法選択の方はぜひ覗いてみてください。

article23.hatenablog.jp

 と、ここまで書いて気づいたんですが、令和4年度からは予備試験でも選択科目が必要なんですね。選択科目で悩んでいる方にも役に立つかと思うので、よければぜひ覗いて見てください(しつこいですね、すみません…)。

おわりに

 伊藤真信者としては、伊藤塾の『問題研究(過去問を含む)』と各種答練で扱う問題だけで、十分に論文式試験を通過できると思っています。では、演習書を読むメリットって何でしょうか?

 それは、予備校の「論証パターン」以外の論証の仕方を知ることだと思います。こんな論述の仕方もアリなのか、ということを知ることで、論証の自由度が上がります。少し比喩的な表現になりますが、可動域が広がるイメージです。

 また、反対説を丁寧に学習することで、自説の説得力が上がります。添削していると、「このひとは問題の所在がわかっていないな〜」という答案は(たとえ論証パターンを正確に書き写してあっても)すぐわかってしまいます。反対説を学習すると対立点が明確になりますので、少なくとも「問題の所在がわからないのに論証する」ということがなくなります。

 

 そんなわけで、伊藤真信者が市販の演習書を読むメリットを総括すると、「恋人以外の異性とデートしてみて、あらためて恋人の素晴らしさを知る」みたいな感覚なんですが……あんまり良くない比喩ですよね。まあ、それに比べれば、演習書を読んでも誰からもバッシングされませんから、気分転換に1冊くらい読んでみてもいいんじゃないでしょうか。

 

憲法記念日

【読むとよいタイミング】論文式試験の前

 

「この答案はF評価だね」と君が言ったから、一月二十二日は憲法記念日

 

 新聞の憲法記念日特集を読みながら、アホみたいな短歌を思いつきました。1月22日というのは、予備試験の論文式試験の成績のハガキが届いた日です。成績表は憲法が一番上に載っていますので、私は「F」の文字を見て、合格発表後なのに「落ちた…」とショックを受けたことを覚えています。

 まあ、1科目くらいF評価があっても予備試験は通過できます。会社の同期から「確かに、人権感覚が欠如していそうだもんね」と笑われてしまいましたが、今となっては良い思い出です。

 というわけで、悪天候のためお出かけの予定も無くなってしまったので、だらだらと「試験科目としての憲法」について書きます。

目次

予備試験前の勉強

 実は、予備試験の結果が出る前まで、答練や模試で、憲法は「得意科目」でした。予備校が公表する「模範解答」を研究して、それに近い答案をいつも書いていたので、いつも当然に高得点を取れていたからです。

 そのため、予備試験前にはそんなに憲法の対策をしていませんでした。普通に予備校の講座を受講していただけです。

 ただ、予備試験の延期が決まった後、やることがなくなってしまったため、演習本を1冊読みました。予備校の職員さんに紹介してもらった『事例問題から考える憲法』(有斐閣)です。

 この本を読むと、憲法が問題となる未知の事例に対して「何条(どの権利)の問題なのか?」を判断する能力が養われます。「権利の設定を間違えると減点が大きい」などと言われますが、それを失敗せずに済んだのはこの本のおかげだったかもしれません。

司法試験前の勉強その1

 そして、満を持して、自信満々で受けた予備試験。結果はF評価でした。

 最近、受験生の答案を添削をする側にまわって実感したのですが、憲法は非常に採点しづらいです。論理的に正しいけど経験則が常識外れの答案。エモーショナルで感動的だけど問題文から乖離した答案。いろんな答案があります。結局、模範解答に近い無難なことが書いてある答案を高得点にしてしまいます。

 しかし、司法試験や予備試験の採点者が好む答案は、私の書いたようなものではありませんでした。(こういうとき、再現答案を晒せばわかりやすいんだろうな〜とは思いつつ、予備校と「他所には晒さない」という約束をしたので、晒せません。F評価の答案なんて晒しても全く影響なさそうですが、まあ、約束は約束なので…)

 というわけで、私の中で「模試で評価される答案 ≠ 本番で評価される答案」ということが明確になったので、司法試験に向けて、「本番で評価された答案」を読むことにしました。買ったのは、辰巳が出版している『ぶんせき本』です。

 このシリーズに掲載された答案のうち、公法系の点数が高いものを数年分すべて読みました。私はとにかく他の受験生が書く文字数の多さに驚きましたが、それ以外にも、読んでいると様々な共通点を見つけることができます。

 一例だけあげると、評価が高い答案は、問題となる権利をかなり細かく具体的に設定していることがわかります。「集会の自由」などと設定せず、「顔を隠してデモ行進に参加する自由」と設定するのです。そうすると、権利の重要性や制約の程度に関する論述も、連動して具体的になります。自分がこれまでいかに類型的で表層的で浅薄な論述をしていたかを痛感しました。

司法試験前の勉強その2

 先ほどあげた『事例で考える憲法』は大変勉強になりますが、残念ながら「模範解答」は載っていません。私は予備試験で叩きのめされて、もう一体どんな答案を書けばいいのか全くわからなくなってしまっていました。そのため、きちんと「模範解答」が載っている本を読むことにしました。受験生おなじみの『憲法ガール』シリーズ(法律文化社)です。

 この本で示されている模範解答は、予備校が出している模範解答とは大きく異なるものでした。この本からは、判例を意識して答案を書くことの必要性を学びました。判例の結論に肯定的な考えであれ否定的な考え方であれ、とにかく「判例の示した規範」という共通認識をもとに議論を組み立てないと、ただの作文になってしまいます。

 ちなみに、この本のラノベ部分は冒頭だけ読んで全身が痒くなってしまったので、ほとんど読み飛ばしました。模範解答と解説部分だけでも十分楽しめますので、もしイラストなどに抵抗感がある方も、あまり「食わず嫌い」せず、気軽に読んでみてください。

 

 このほか、司法試験の出題趣旨や採点実感を何度も読み返しました。(最後に紹介してしまいましたが、これが一番大事な対策だったかもしれません…)

 予備試験の結果発表から4か月弱、いろいろな対策を試みた結果、司法試験の公法系第1問はA評価でした。こんな短期間で人権感覚を養えたわけではないと思うので、おそらく、小さな心掛けの積み重ねの成果だったのだと思っています。めでたしめでたし。

おまけ

 時系列が前後しますが、予備試験の論文式試験が終わった後、結果が出るまでの間に読んだ本を2冊紹介します。(まさかF評価だとは夢にも思わず、これ以外にも憲法関連の本を3冊も読んでいましたとさ…)

 1冊目は、木村草太氏の『憲法という希望』(講談社)です。選択的夫婦別姓や沖縄の基地問題などの具体的な社会問題を題材に、憲法の使い方・活かし方が解説されています。

 この本は、市民に向けて行われた講演がベースになっているため、とても読みやすいです。「安倍政権」や「辺野古」などのワードが懐かしくなり始めている昨今、新鮮な気持ちで読めるかもしれません。

 ちなみに、この本には、かつてNHKの「クローズアップ現代」のキャスターをしていた国谷裕子さんとの対談も収録されています。私は国谷キャスターのファンだから…という理由でこの本を読みました。対談部分もとても面白かったです。

 

 次に紹介するのは、井上達夫氏の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』(毎日新聞出版)です。私はこういう“狙った”書名は嫌いなんですが、本の中身まで嫌いになりませんでした。むしろ、昨年読んだ本の中でもトップクラスに面白かったです。

 通称『リベ・リベ』は、続編として『憲法の涙』(毎日新聞出版)という本が出版されています。前作に比べると内容が細かく詳しくなっているので若干読みにくいですが、前作が楽しめた方は間違いなく楽しめると思います。

 井上達夫さんは、言わずと知れた、法哲学の第一人者です。私はお恥ずかしながら、法律の勉強を始めるまで名前も存じ上げませんでした。法哲学なんぞ司法試験には直接関係ない分野ではありますが、知っておいて損はないと思います。

 そして、このシリーズを読めば、憲法9条なんて削除したほうがいいんじゃないか…と思うようになります。まあ、ただ、「護憲」とか「改憲」とか言い始めると、憲法記念日っぽい記事になってしまうので、その話はやめておきますね。

 

世界遺産の中心で、愛をさけぶ(2級編)

※この記事は司法試験や勉強法とは関係がありません。

 

世界遺産検定」って聞いたことありますか?

 知らない友人が意外と多くて驚いているのですが、クイズ番組『Qさま』を観ていると、よく出演者のテロップで「世界遺産検定●級」と表示されていますよね。私は『Qさま』で優勝することを人生の目標の1つに掲げていますので、とりあえずは合格しておきたい検定の1つでした。

 ということで来る3月13日、会場で【2級】と【3級】を受験してきました。この試験、翌日には公式ホームページで正答が発表されます。自己採点してみたところ、結果は【2級】が73点・【3級】が70点で、マークミスなどがなければ合格予定です。

 勉強していて楽しい試験だったので、【2級】の受験を前提に「どんな勉強をどれくらいすれば合格できるのか?」ということを簡単に紹介したいと思います。いつかみんなで一緒に『Qさま』に出場しましょう!

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(pixabayからのイメージ画像)

目次

試験の特徴

 受験者の属性としては、旅行会社や航空会社の方々、それらの業界を目指す学生が多いようです。【2級】だと学生/社会人がおおよそ半分ずつ。私の隣の席の受験生は、小学生と思しき坊主でした。

 後掲の問題集に記載されたデータによると、2020年度、【2級】の受験者数は2,100〜3,700人程度でした。多い回では司法試験と同じ規模になりますね。それぞれの合格率は61%〜81%程度とのこと。

【2級】では、以下のような4択問題が60問出題されます。

2016年のオリンピック開催地であるリオ・デ・ジャネイロで、ブラジル独立100周年を記念して作られたキリスト像が立つ場所として、正しいものはどれか。
 1.  コパカバーナの山
 2.  イパネマの海岸
 3.  カリオストロの砦
 4.  コルコバードの丘

世界遺産検定公式ホームページからの引用)

 配点が1点の設問と2点の設問があって、60問で100点満点。このうち、60点以上で合格できます。勘で塗りつぶしても25点もらえるわけですから、合格ラインは低いと言えるでしょう。

結論:必要な勉強時間は10時間程度

「勉強していて楽しい!」と言っておきながら「必要な勉強時間は?」という問いを立てるのも支離滅裂なんですが、まあ、資格マニアを目指す者のブログとして、一応は検討しておきたいテーマです。

 まず、Googleで「世界遺産検定2級 勉強時間」と検索すると、上から順に「2週間くらい」「20〜30時間」「1か月間」などと書かれたページが出てきます。

 たしかに個人差が多少あるのかもしれませんが、高校で世界史を勉強して、ひととおりの基礎知識があることを前提とすれば、合格に必要な勉強時間は「10時間程度」だと思います。

(1) YouTube 1時間
(2) 公式教材 5時間
(3) 過去問 4時間

 私は大学受験で日本史と世界史しか使っていないため、地理は全然勉強していません。「高校で地理を勉強していると有利」と書いてあるブログもあったので、地理を選択していたひとはもっと少ない勉強時間で合格できるのかもしれません(フィヨルド、カルスト地形、デルタ地帯、などなど?)。

勉強その1 YouTube

 では、具体的にどんな勉強をするかという話に移りますが、まずは、世界遺産アカデミーの公式YouTubeを観ましょう。話はそれからです。

世界遺産検定2級学習アシスト動画【前編】 - YouTube

世界遺産検定2級学習アシスト動画【後編】 - YouTube

【2級】はざっくり言うと「世界遺産の基礎知識」「日本の遺産」「世界の遺産」の3分野から出題されます。このうち、このYouTubeで「世界遺産の基礎知識」を学ぶことができます。この分野だけは常識で解けない問題が出るので、真面目に対策しておきたいところです。

勉強その2 公式教材

 YouTubeを観終わったら、次に、公式教材を読みましょう。試験問題のうち9割はこの本の赤字と太字の部分から出題されると思って大丈夫です(残りの1割は、赤字と太字以外の部分と、時事問題です)。

 全部で240ページほどで、写真も豊富なので、じっくり読んでも5時間程度です。漫然と楽しみながら読むだけでも全然問題ないと思いますが、以下の点を注意しながら読むと試験対策的には効果的です。

・やたら「建築様式」の出題頻度が高いので、セットで覚える

・意外と「保有国」の知識を問われるので、セットで覚える

・1問だけ「地図問題」が出題されるので、地図も意識的に眺める

・1問だけ「英語問題」が出題されるので、余裕があれば英語の部分も読む

勉強その3 過去問

 最後に、過去問を解きましょう。過去に出題されたからといって再び出題されないわけではなく、反対に、意味不明なほどしつこく出題される知識もあります。2020年度には「天海が東照社を建設した」という知識が4回のうち3回の試験で問われています。

 過去問はだいたい、1回あたり20分程度で解き終わります。悩んで解けるような問題はなく、知っているか、知らないか、そのどちらかしかありません。間違った問題の復習を含めて、1回あたり1時間程度で終わります。

 公式過去問集には4回分の過去問が収録されていますので、全部やると4時間程度となります。よほど点数が取れない場合を除いて、試験対策はこれで十分だと思います。

声に出して読みたい世界遺産

 こんなブログでこんな記事を書いて、一体誰が読んでくれるんだろうか…と疑問を持ちながら、ひとまず書き切りました。ここから先は、さらに誰も読んでくれなさそうなことを書きます。

 

 世界遺産検定の勉強をする醍醐味は「カタカナの文字列」を暗記するところにあると思っています。RPGが好きなひとには共感してもらえるかもしれないですが、「円形都市ハトラ」「隊商都市ペトラ」「聖都カラル・スペ」「古都ルアン・パバン」あたりは文字を見ただけでテンションが上がりますよね。

 ちなみに今回勉強していて好きになった文字列のトップ3は「コンマゲネ王国のネムルト・ダー巨大墳墓」「聖山スレイマン・トー」「ランス・オー・メドー国立歴史公園」です。

「アツィナナナ」「ピマチオウィン・アキ」「テ・ワヒポウナム」「タプタプアテア」「ラパ・ニュイ」「ティムリカ・オヒンガ」「パパハナウモクアケア」「ンゴロンゴロ」あたりも声に出して読みたいですね。

 あと「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」「サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ」「サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ」とかを正確に覚えるのも楽しかったです。

 

 次回の試験は2022年7月3日、申込締切は5月20日です。私は今度【1級】を受験するかもしれないので、もし興味を持った方がいたら一緒に頑張りましょう!